評価:4.8
ガジェットブロガーのマクリンです。
今回は、Valerionのハイエンドモデル「Valerion VisionMaster Max」を紹介します。
すでにKickstarterや海外のガジェット系YouTuberのレビューで話題になっていたので、気になっていた人も多いのではないでしょうか。
ついに日本でも発売が始まりました。
お値段は、Makuakeの早割で最大35%OFFの49万9,999円!DLPプロジェクターの最高峰との呼び声も高く、ガチ勢向きのスペックで、価格も本格的。
DLPプロジェクターの中でも最高峰といわれるスペックを持ち、まさに“ガチ勢”向けのモデルです。
普段、映像配信やゲーム用途でプロジェクターを使う我が家にとって、このモデルがどこまでフィットするのか。
そして、30万円台の私物プロジェクター(REGZA RLC-V7R MAX)と比べてどんな違いがあるのか。
リビングシアター目線で、じっくり掘り下げていきます。
それでは、さっそく見ていきましょう!
タップできるもくじ
スペック
まずはスペックから紹介します。

VisionMaster MaxはDLP方式を採用しています。
家庭用プロジェクターの市場では、100万円を超えるあたりからLCoS方式が主流になりますが、このモデルはDLP方式でありながら、その表現力が非常に高いのが特徴です。
注目すべきは、独自技術のEBL(Enhanced Black Level)とIRIS制御の搭載です。
EBLは、フレームごとに明暗を解析し、暗いシーンをより深く最適化する技術。
さらに、DLPプロジェクターではめずらしい、絞り羽のついた物理的なIRISをそなえ、反射光を6段階で制御できます。
オフにすると黒が少しグレー寄りになりますが、EBLとIRISの組み合わせにより、暗所では純粋な黒の表現と深みのあるコントラストを実現します。
この6段階アイリスは、下位モデルのVisionMaster Pro2には搭載されていません。

もう一つの注目ポイントは、RBE(Rainbow Effect)抑制機能です。

DLP方式特有のレインボーノイズを軽減する「Anti-RBE」機能をONにすることで、映画視聴時などにノイズを抑えられます。
実際にON・OFFを比較してみると、ノイズのRGB残像が明らかに薄くなり、制御が効いていることが確認できました。
映像酔いしやすい人にも配慮された設計といえます。
レンズは0.9〜1.5:1の光学ズームで、垂直方向に±105%のレンズシフトが可能。
左右にはシフトしないため、スクリーンの正面設置が推奨です。
100インチスクリーンに投影した場合、距離は約215cm。
今後発売予定の交換レンズを使えば、設置の自由度が大きく広がりそうです。
明るさは3500ISOルーメン。
個人的な感想として、3000ISOルーメンを超えると「とても明るい」という印象に収まるため、重要なのは明暗のコントラストだと感じています。
日中でも視聴できますが、このプロジェクターの真価はやはり暗所で発揮されます。

ポート類も充実し、HDMI 2.1が2系統、HDMI 2.0(eARC対応)が1系統、1Gbps LANポートなどを搭載。
ゲーム機や外部オーディオとの接続も安心です!
投影レビュー
スペックを確認したところで、実際の投影を見ていきます。
設定
まずは「プロジェクター設定」でアイリスの絞りを固定します。
アイリスは1〜6段階で設定でき、シネマ1・シネマ2・カスタム・オフのモードがあります。
いくつか試した結果、僕は「シネマ1」がもっとも自然で安定していたので、この設定に固定しました。どうやらカスタムの3〜4段階に相当するようです。
そのほか、RBE制御や高精細モード、DLPターボモードなどの設定がありますが、今回は高精細モードのみONにしています。

映像設定では「標準」を選び、レーザー輝度を6に設定。輝度を6以上にするとEBL(黒レベル強調)が使用可能になります。
ただし、10まで上げると明るすぎて目が疲れるため、最終的に6がちょうど良いバランスでした。
黒レベル強調は「強」に設定しています。

比較用に、30万円台の私物プロジェクター「REGZA RLC-V7R MAX」(Hisense C2 Ultraベース)と映像を比べてみました。
4K映像投影
まずは東京駅の夜景を投影。

Valerionは、建物の明るさと夜空のコントラストがくっきりと出ています。

REGZAも単体で見れば美しいのですが、比較するとコントラスト比で差が出ます。

黒背景のカメレオン映像では、表皮の模様の立体感に明確な違いがありました。

木陰から日差しの下に移るシーンでも、Valerionは太陽の眩しさをしっかり再現できています。
REGZAではその光の強弱がやや平坦に感じられました。
黒背景のドライアイス映像も、Valerionのほうが深みのある黒を表現。

さらにカラーインクの映像では、Valerionのほうが実際の色味に近く、赤の発色も自然でした。
どちらもBT2020 110%の色域をカバーしていますが、投影性能の違いで明確な差が出ています。
Netflix
Netflixで4K・Dolby Vision対応作品を視聴しました。
暗闇の宇宙シーンがある作品を選び、映像メニューは「Dolby Vision Bright」に設定。
このモードでは、多くの映像設定がDolby Vision側で固定される仕様になっています。
アイリスは「シネマ1」のままです。

宇宙船が破損していくシーンでは、迫力とコントラストのバランスが見事。

「Dolby Vision Dark」に切り替えると、暗部がつぶれてパーツの形状が見えにくくなりました。
このあたりは環境に合わせて調整が必要そうです。
また、深海魚のシーンでアイリス「OFF」と「シネマ1」を比較すると、明暗の差がしっかり出ていました。
このアイリス機能は下位モデルにはないため、VisionMaster Maxならではの強みといえます。
ゲーム
続いてゲーム投影です。
入力遅延は1080P@240Hzで4ms、1080P@120Hzで8ms、4K@60Hzで15ms。
ALLM(低遅延モード)にも対応しています。
PS5を4K・60FPSで設定し、「HDRダイナミック」モード + アイリス「シネマ1」でプレイしました。

「ゴーストオブヨーテイ」では、映像のコントラストが際立ち、風景の奥行きがしっかり出ています。

「エルデンリング」の洞窟シーンでは、黒の深みと光の表現力が印象的。

「キンカム2」の街並みでは、水たまりの反射や光の再現性が高く、グランツーリスモでも逆光や路面の反射が自然に描かれていました。
オープンワールドRPGやレースゲームでも遅延を感じず、ゲーム用途としても十分実用的です。
その他機能
最後に、その他の機能やアクセサリーを紹介します。
VisionMaster Maxは3D投影に対応し、3D作品の視聴も可能です。

システムにはGoogle TV OSを内蔵し、主要な配信プラットフォームを利用できます。

また、AirPlay 2・Chromecast・Miracastでのミラーリングにも対応しています。

台形補正や自動フォーカスの精度も高く、スクリーンへの自動フィットもスムーズ。
他社製品と比べても完成度の高さを感じました。
サウンドは12W × 2のステレオスピーカーを内蔵。
ニュースやYouTubeなどの軽い視聴には十分ですが、このクラスの画質になると、AVアンプやサラウンド環境を組む人が多いと思います。
映画メインの人は、外部オーディオ前提で考えるのがおすすめです。
リモコンは、配信サービスの直ボタンや設定ボタンがそろい、暗闇でも見やすい発光ボタン付き。

また、本体裏にはフリップスタンドを搭載し、角度をつけたい場合はジンバルスタンドを使うと便利です。
まとめ
今回は、Valerionの最新ハイエンドプロジェクター「VisionMaster Max」を紹介しました。


貸出機でしたが、買い替えを検討したくなる完成度です。
中級クラスのDLPプロジェクターからさらに上を目指したい人には、まさにうってつけの1台。
もちろん、映像ガチ勢なら100万円超えのLCoS機も選択肢ですが、僕のように配信やゲーム中心で「より自然な色味・高コントラスト・低遅延・現実的な価格」を求める人には、このモデルがちょうどいいバランスだと感じました。
リビングを半分ホームシアター化したい人、100〜150インチで映画とゲームを両立したい人、テレビではなくプロジェクターを“本命ディスプレイ”にしたい人には、検討する価値があると思います。
映画ガチ勢とリビングシアター派の中間を狙った絶妙な1台。
ぜひ参考にしてみてください。
どうも、マクリン(




ガジェットブロガー
Makurin
プロフィール
株式会社makuri 代表取締役。
ガジェット選びで失敗しないための情報を発信中。ブログ「マクリン」とYouTube「マクリン / ガジェット比較」を運営しています。
レビュー歴7年以上、実機レビューは累計500製品以上。充電器・モバイルバッテリー・スマホアクセサリー・ネット回線・VPN・ゲーミングPCなど幅広くレビュー。
自宅に100台以上の充電ガジェットを所有し、実際の使用感にこだわったレビューを届けています。
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