プロジェクターを持ちマクリンです。
本記事では、XGIMI社の「ポータブルプロジェクター」4製品を実際に投影しながら細かく比較していきます。
近年4Kサイズのホームプロジェクターが増えていますが、20万円以上の高価格帯で、100インチ超の大画面用。設置が前提で、持ち歩きには向いていません。
あと単身住まいや狭いお部屋で視聴する人には、もったいない買い物になる可能性があります。
一方、場所や用途を問わず楽しみたいという需要が拡大し「ポータブルプロジェクター」が注目を集めています。
今回は「プライベート」と「ビジネス」の両方の利用シーンを想定し、XGIMIのMoGo 3 Pro、Elfin Flip Pro、MoGo 2 Pro、Halo+の4機種を多角的に検証していきます。
プライベート利用のメインは、テレビ・映画視聴・ゲームプレイだと思うので「画質」「明るさ」「音響」「遅延」を中心にチェックします。また、昼間と夜間の投影比較を行っていきます。
仕事利用では「バッテリー持ち時間」「携帯性」「操作性」が気になると思うので、そのあたりを確認していきます。
それではさっそく行きましょう!
タップできるもくじ
サイズ・重量・外観
サイズ・重量はそれぞれ以下のとおりです。
MoGo 3 Pro、MoGo 2 Proは1.1kgで軽めです。Halo+は少し重量があり、4機種の中では大きめ。MoGo 2 Proも似たような四角柱のデザインです。
MoGo 3 Pro、Elfin Flip Proは、どこにレンズがあるのか一見分からないミニマルなデザインです。
このように投影部分とスタンドになるパーツが分離し、投影レンズの角度を調整できるデザインになっています。
Elfin Flip Proは、他にはない独創的なデザインでおもしろいですね。
内蔵スタンドのないMoGo 2 Pro、Halo+は、XGIMIのアクセサリにある「マルチアングルスタンド」を購入することで同じように使えます。
雲台付きの「ポータブルスタンド」の販売もあり、MoGo 3 ProやElfin Flip Proはカラーをそろえられます。
またMoGo 3 Proは、専用設計された65W出力の20,000mAh「バッテリー付きスタンド」があり、電源ケーブルなしで投影ができます。

各機種の電源ケーブルとリモコンも見ていきます。それぞれの大きさの感じと重さは記載のとおりです。
MoGo 3 Pro、MoGo 2 Proはコンパクトな電源コードです。本体給電がUSB Type-Cのため、ケーブルがスリムになっています。
USB Type-Cなので、モバイルバッテリーでの給電も可能ということになります。
Elfin Flip ProとHalo+は、ノートパソコンの電源コードに近い大きさです。
本体重量が1.1kgで電源ケーブルもコンパクトなMoGo 3 ProとMoGo 2 Proは、ダクトレールを使った天吊りも問題ありませんでした。
他の2機種は重量があるので、手持ちのダクトレールフィクサーが対応せず、天吊りは行っていません。
天吊りは自宅だけではなく、最近は店舗のディスプレイやBGM用にお使いいただく人も多く、個人店など小規模店舗はこの2機種がおすすめです。
MoGo 3 ProとElfin Flip Proのリモコンは、YouTube・Netflix・Amazon Prime Videoのボタンがついています。

入出力端子
入出力端子は、こんな感じになっています。MoGo 3 ProのみHDMIではなくMicro HDMIです。
Switch 2などゲーム機につなぐ際は、Micro HDMI to HDMI(メス)の変換アダプターが必要でした。
アダプターは1,000円前後で購入できますが、ゲーム機など外部機器に繋ぐ前に入手しておく必要があります。
他の機種は、HDMIとUSB-Aがついていたので、手持ちのストリーミングデバイスも問題なく装着できました。
投影比較
投影方式はすべてDLP方式で、光源はLEDです。
この価格帯で一番メジャーな投影方式・光源であり、家庭用プロジェクターとしては標準的です。
標準解像度はいずれも1920 x 1080ピクセルのフルHDです。
ただ、輝度と色表現に違いがあります。MoGo 3 Proは450ISOルーメン、Elfin Flip ProとMoGo 2 Proは400ISOルーメン、Halo+は700ISOルーメンです。

実際によく晴れた日の6月14時頃のMoGo 3 Proの投影がこちら。カーテン無しだと明るすぎてほぼ見えないですね。
とはいえ、曇天の日やカーテンを閉めて薄暗くするだけで見えるので、曇天のこのような環境下で投影比較してみました。
壁から2m15cm離し、80インチ程度ですべて投影しています。数値上一番明るいとされるHalo+が、実際の投影でも他より少し明るいですね。
実際の投影性能は夜間で発揮されますので、違いを見ていきます。4製品同時に同じ壁に同じ距離から投影しています。
いずれもHDR10に対応し、白黒のコントラスト、色の精度がある程度維持されているものの、カバーしている色域のスペックに違いがあります。
MoGo 3 ProとMoGo 2 Proは DCI-P3 90%、Elfin Flip ProはRec.709 113%、Halo+は公表値がありません。
DCI-P3やRec.709を色域のグラフでまとめてみました。このグラフは「色度座標」を表し、RGBの純粋な色をxy平面で定義している三角形です。
横軸のxは赤〜緑方向の色度成分、縦軸のyは黄〜青方向の色度成分を示しています。フルHD映像規格のRec.709、デジタルシネマ規格のDCI-P3、印刷・グラフィック用のAdobeRGB、次世代放送・HDR基準のBT.2020、人間が知覚できるすべての色を表したCIE1931を比較しています。

パッと見た感じ、Elfin Flip Proは緑〜青に傾いています。MoGo 3 Proは若干緑寄り、MoGo 2 Proはバランスがよく見えます。
Halo+が一番明るく、ほんのわずかに赤が強いように見えます。
一番違いを感じた映像がお花の映像。より表現できているのはHalo+ですが、少し白飛びしています。MoGo 2 Proは400 ISOルーメンで輝度は劣るものの、色表現は自然で美しいです。
全体の映像を比較したかぎり、MoGo 2 Proは視聴してて目にやさしいので自然な色味と明るさだと思います。
投影サイズと距離
投影サイズと距離を見ていきます。どの機種も266cm離すと約100インチ投影になります。
MoGo 3 Pro、MoGo 2 Pro、Halo+は最小40インチから最大200インチまでの投影を推奨、Elfin Flip Proは最小80インチから最大150インチまでの投影を推奨しています。
Elfin Flip Proだけ投影サイズの推奨範囲が狭いので注意が必要です。
XGIMIの公式ホームページには、お部屋の寸法を入れて投影面からの距離を入れると何インチなのか自動計算してくれる便利なサイトがあるので、購入前にぜひ活用してみてください。
音質
次は音質をチェックしていきます。MoGo 3 Pro と Halo+は、Harman Kardon社製のスピーカー5W × 2を搭載しています。
MoGo 3 Proは、下部のパンチングメッシュ部分がスピーカーで、音の広がりがあります。
Halo+は、パンチングメッシュから透けて見える空洞部分から音が出ていたので、側面と前面から広がる仕組みのようです。
Elfin Flip Proは3W × 2の計6Wで出力は小さめ。前方に向かって音が広がる印象です。
MoGo 2 Proは、8W × 2の計16Wで出力が大きいです。どの機種もDolby Audio対応です。
1曲目にEDM系のダンスミュージック、2曲目は映画音楽風のオーケストラミュージックを流して比較してみます。
1曲目のEDM系ダンスミュージックです。
すべて音量35で統一していますが、MoGo 2 Proは一番出力が大きいにも関わらず、音量設計が小さめ。他の3機種に合わせるには、音量50まで上げる必要がありました。
また、Harman Kardon社製スピーカー搭載の2機種は中高音域のバランスが良い印象ですが、Halo+はシャリシャリとしたエッジのある音質に聞こえます。
2曲目の映画音楽風のオーケストラミュージックです。
映画は身体に響くような低音が効いていると臨場感も高まるので、その観点で選ぶとMoGo 2 Proが自然で、Halo+はよりダイナミックな印象を受けました。
音の部分で選ぶなら、MoGo 2 Proを音量50くらいで流すと、耳が疲れずに聴けると思いました。
ゲームプレイ
ここからはゲームプレイをしていきます。
Nintendo Switch 2でマリオカートワールドをプレイしていきます。
Switch 2のフレームレートは最大120fpsですが、マリオカートワールドのフレームレートは60fpsです。
HDMI接続でプレイ中に遅延などが発生しないかを見ていきます。
結果は、MoGo 2 Proのみカクつきが見られました。
またMoGo 2 Proは、HDMIをただ接続しただけだとゲームモードに自動切り替えにならず、リモコンで切り替える必要がありました。これは後から気づきました。
HDMI接続後、リモコンのこの部分を押すとHDMIの設定画面になります。
これでやっと切り替わると思いきや、台形補正がオフになるという設定になっています。
台形補正のメニューを押すとロックされており、ゲーム画面を正しい位置にするためには手で本体を動かすしかありません。

以前MoGo 2 Proでグランツーリスモ7を60fps設定でプレイしたときは問題なかったので、60fpsまでのゲームプレイは問題ないことを確認済みです。
台形補正がオフになる点のみ許容できる人は、きれいな画面でプレイできるのでおすすめです。
他の3機種はスムーズにカクつきなくプレイできました。
携帯性
ここからは、仕事利用シーンで重要な「持ち運び」、すなわち携帯性を見ていきます。
会議室やセミナー会場などに、使い慣れたプロジェクターを持っていきたいシーンもありますからね。
A4サイズの入る、よくあるタイプのエコバッグに入れてみました。
どれも問題なく持ち運べる大きさですばらしいです。
MoGo 2 Proはとくに、電源ケーブルもコンパクトなので、マルチアングルスタンドをつけて持ち運び用に選びたいです。
起動の速さ
ビジネスシーンでもう1個重要なのが、肝心な「起動の速さ」です。
実際にプロジェクターをセッティングしてから、プレゼンを始められるまでの速さをシュミレーションしてみました。
PCはMacBook Airを使用しています。
MoGo 3 Proは、投影角度の設定がラクで良いですね。
OSがGoogle TVなので、設定 キャストを選び、PC側でミラーリング先にMoGo 3 Proを選ぶとすぐに投影できます。とてもスムーズでした。
Elfin Flip Proも投影角度の設定がスムーズです。本体の存在感が少し気になります。
XGIMI OSなので、アプリ一覧 投影アシスタントを選び、PC側でミラーリング先にElfin Flip Proを選ぶと投影できます。
電源ケーブルが邪魔な場合、本体に充電機能がついているのでケーブルレスで投影できますが、省エネモードが有効になり、暗くなってしまいました。ここは注意が必要です。
MoGo 2 Proはまっすぐ正面にしか投影できないので、角度を変えるにはマルチアングルスタンドや雲台付きのスタンドが必須です。
リモコンの電池が途中なくなったので中断しましたが、OSは Android TVなのですぐにミラーリングでき、資料が立ち上がりました。色表現も自然で、仕事利用にはなかなか良さそうです。
Halo+は少し大きいものの、OSは同じくAndroid TVなので、資料はクイックに立ち上がりました。
明るくはっきりとした表示で、他にはないパーツとして、底面にフリップスタンドが付いているのが便利です。
こちらも本体に充電機能がついているので、ケーブルレスで投影できます。
Elfin Flip Proとは異なり、省エネモードにはならず通常投影のままでした。これは便利ですね。
ただし本体の充電機能は2時間程度しかもたないので、サブ的機能かと思います。
仕事利用では、携帯性や起動の速さで、僕はMoGo 2 Proを選びたいです。
基本性能
最後は基本機能についてです。それぞれのOSをおさらいします。
- MoGo 3 Pro:Google TV
- Elfin Flip Pro:XGIMI OS
- MoGo 2 Pro:Android TV 11.0
- Halo+:Android TV 10.0
Halo+はNEWタイプも発売され、こちらはGoogle TV搭載です。
MoGo 3 Proは、例えばYouTubeであれば、Googleアカウントに紐づいたYouTubeアカウントでしか視聴できない仕様になっています。
家族などの異なるGoogleアカウントも追加できますが、YouTubeは自分のアカウントで見たいという場合にGoogleアカウントをいちいち切り替える必要があります。
MoGo 2 ProとHalo+に搭載のAndroid TVは、YouTubeアプリにYouTubeアカウントを複数記憶されるタイプなので、家族との切り替えがラクした。
YouTubeは便利なものの、Android TVにはNetflixの公式アプリがありません。さらに、以前は代替えのアプリから視聴できていましたがそれもできなくなり、Netflix視聴できない状況です。
ここは、Fire TV Stickなどのストリーミングメディアプレーヤーを使ったほうがてっとり早いです。
手持ちのストリーミングメディアプレーヤをMoGo 2 Proに挿してみたところ、HDMIの画像モードを映画に変えると台形補正も効き、Netflixが快適に見れそうです。
Halo+はNetflix視聴ができないことを解消するために、Google TV OS のXGIMI Halo+(New)も発売していますので、Halo+で Netflixを観る予定の人はNewを選びましょう。
MoGo 3 Proに搭載のGoogle TVでは、対応レコーダー機器とつなげてテレビ視聴ができる「Dixim Play」がダウンロードできるのでテレビ視聴もできます。「Netflix」もあります。アプリストアが充実しているのはうれしいですね。
Elfin Flip ProのXGIMI OSは、Netflix、YouTube、Amazon Prime、TVerしか視聴しない人には十分ですが、テレビやラジオ視聴用のアプリは入っていないので、機能を拡張させたい場合は別途Google TV StreamerやFire TV Stickを購入し、HDMI接続する必要がありそうです。
OSの機能と各アプリの状況をおさらいすると以下のとおりです。
投影機能面では4機種ともに自動台形補正、オートフォーカス、スクリーンへの自動アジャスト、障害物自動回避が搭載されています。
自動台形補正は、MoGo 2 Proのみ会議室で使ったときに反応が遅かったり、反応がないときもありました。他の機種はとくに使いづらいと思った点はありませんでした。
MoGo 3 Proにのみ、投影時の強い光から目を保護する「アイプロテクション」が搭載されています。
XGIMIのポータブルプロジェクターはどんな人におすすめ?
本記事では、XGIMI社のポータブルプロジェクターを4機種をこまかく比較しました。
あらゆる面で比較してみましたが、MoGo 3 ProとElfin Flip Proは、プロジェクター初心者向きの使いやすさやデザイン面を重視している印象を受けました。
MoGo 3 Proは、Google TV OS であらゆるアプリを横断しながら使うのに便利ですし、小さいわりに音の広がるHarman/Kardon社製のスピーカーは、複数人でプロジェクターを視聴するときも満足度が高そうです。
Elfin Flip Proは多機能さを求めない、さらに初心者向けの印象です。リビングやベッドルームなど気軽に場所を変えて、雑貨のような感覚で使う感じが合っています。
MoGo 2 Proは、一番自然な色合いの投影と持ち運びのしやすいサイズ感が好印象です。
ゲームプレイモード時の台形補正オフや、Netflixアプリが無いなどクセはありますが、ツールを使えばある程度解消できます。
Halo+は2021年発売で僕自身も所有していますが、発売当時「このクラスの中では高い完成度だな」という印象でしたが、今回あらためてレビューし、その印象が変わっていないことに驚きました。
ネット販売限定のHalo+(New)はGoogle TV OS搭載ということで、Netflixなどをスムーズに視聴したい人はこちらの選択肢があるのもうれしいですね。
どうも、マクリン(




ガジェットブロガー
Makurin
プロフィール
株式会社makuri 代表取締役。
ガジェット選びで失敗しないための情報を発信中。ブログ「マクリン」とYouTube「マクリン / ガジェット比較」を運営しています。
レビュー歴7年以上、実機レビューは累計500製品以上。充電器・モバイルバッテリー・スマホアクセサリー・ネット回線・VPN・ゲーミングPCなど幅広くレビュー。
自宅に100台以上の充電ガジェットを所有し、実際の使用感にこだわったレビューを届けています。
▶ プロフィール詳細 / ▶ YouTubeをみる