イヤホン・スピーカー・スマートウォッチと、Bluetoothのお世話になりマクリン( @Maku_ring)です。
PCやスマホなど、機器同士を手軽に接続できるBluetooth機能。
便利な一方で、バージョンによる仕様の違いやペアリング時の互換性が気になりませんか?
そんなわけで本記事は「Bluetooth 5.2はどう進化した?バージョン5.1との違いと新しく追加された仕様を解説!」について書いていきます。
Bluetooth5.2の仕様を先に知りたい場合「Bluetooth5.2の仕様変更点と5つの特徴」から読んでください。
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Bluetoothとはそもそも何?
Bluetoothとはそもそも「デジタル機器用に設けられた近距離無線通信規格」のことです。
近距離といっても数メートルから数十メートルの通信が可能で、通信時の消費電力が少なく接続も簡単なので、家電製品にも広く取り入れられています。
ただし、Wi-Fiとはちがって通信速度が遅いため、大量のデータ通信やスピードを求めるのには適していません。
そのため、パソコンとマウスやキーボードとの接続や、スマートフォンとスピーカーやイヤホンとの接続といったように、文字情報や音声情報など、データ量が小さく低速のデータ通信に使われています。
名称の由来は、デンマークとノルウェーを統一したHarald Blåtand王にさかのぼります。
ブロタンを発音で英語に訳したものが、Bluetoothの表記になり、彼が2つの国を統一したことを機器同士の統合になぞらえています。
Bluetoothのバージョンと過去のアップデート内容
Bluetoothは、開発時期によってバージョンが分かれています。
バージョンは数字で表され、初期の1.0からアップデートされるごとに1.1 1.2……と数字が増え、大きく仕様が変わると2.0 3.0のように数字が変わっていきます。
Bluetoothの過去のアップデート内容を分かりやすくまとめてみました。
年 | Ver. | 内容 |
1994 | – | スウェーデンのEricsson社がプロジェクトとして開発を進める。 |
1998 | – | Ericsson、Intel、IBM、Nokia、東芝の5社によってBluetooth SGIが設立され、「Bluetooth」の正式名称が決定する。 |
1999 | 1.0 | Bluetoothバージョン1.0が一般公開される。 |
2001 | 1.1 | バージョン1.0に修正が加わり、日本でも2003年ごろから普及が始まる。普及バージョンとも呼ばれる。 |
2003 | 1.2 | バージョン1.2を修正し、これまで懸念されていたBluetoothと同じ周波数2.4GHzを利用する無線LANとの干渉を改善するために、AFH(adaptive frequency hopping)という機能を追加する。
これまでの接続速度に比べ、2~5倍速でのデータ送信を可能にする。 eSCO(Enhanced SCO)と呼ばれる機能を搭載する。音声データのビットレートが64Kbpsから100Kbpsに引き上げられ、音質が大きく改善される。 |
2004 | 2.0 | データ転送速度が向上。EDR(Enhanced Data Rate)がオプション追加され、データの最大通信速度を3Mbpsに切り替えられるようになる。 |
2007 | 2.1 | ペアリングが簡略化すると同時にセキュリティも強化される。近距離無線通信NFC(Near Field Communication)が取り入れられる。Sniff Subratingと呼ばれる機能が加わり、電力消費量が減少する。 |
2009 | 3.0 | Protocol Adaptation Layer(PAL)とGeneric Alternate MAC/PHY(AMP)によって、無線LAN規格のMAC/PHY層の利用が可能となる。
Hi Speed(HS)がオプションで追加できるようになり、最大の通信速度はこれまでの約8倍となる24Mbpsに向上。 省電力機能も強化される。 |
2009 | 4.0 | 従来用いられていたBR(Bluetooth Basic Rate)/EDRとは別の規格となるBLE(Bluetooth Low Energy)機能を搭載し、電力消費量が大幅に抑えられる。ボタン電池1つで稼働できるように進化。
BLE転送速度は1Mbpsに抑えられるため、BR/EDRとの速度の差が課題として残る。 |
2013 | 4.1 | データ通信の効率化が改善される。
モバイル端末向けの通信電波LETとの相互干渉を低減させる機能を追加。 自動での再接続機能を搭載。インターネット接続が直接できるようになる。 |
2014 | 4.2 | BLEに高度なセキュリティ機能を搭載し、IPv6/6LoWPANでのインターネット接続も可能となる。
通信速度も260kbpsから650kbpsに改善される。 |
2016 | 5.0 | BLEの通信速度が最大で2Mbpsとなる。
速度改善で消費電力も低減。 |
2019 | 5.1 | ペアリングしている接続機器の方向を探る機能が追加される。 |
2020 | 5.2 | LE Audio機能が追加される。
EATT(Enhanced Attribute Protocol)機能による音楽デバイスの複数接続が可能となる。 LE Power Controlを搭載し、消費電力がさらに低減。 |
Bluetooth5.2の仕様変更点と5つの特徴
2020年1月6日にバージョンアップしたBluetooth 5.2の大きな改善点は、LE Audioが追加されたことです。
LE Audioには次の5つの特徴があります。
LC3コーデック
LC3(Low Complexity Communications Codec)とは、低消費電力でありながら高品質の音質を伝送できる圧縮技術のことです。
LE Isochronous Channelsというオーディオデータの転送方式が取り入れられたことで、従来のSBCコーデックに比べ、約半分のビットレートで同程度の音質を再現できる画期的な仕様となりました。
この仕様変更で、オーディオデータの転送量が少なくなるため消費電力が抑えられ、機器のバッテリー持ちも良くなりました。
マルチストリーム
EATT(Enhanced Attribute Protocol)システムが取り入れられ、音源元となるオーディオソースデバイスと、複数のオーディオシンクデバイスとで独立したデータ伝送ができる機能です。
例えば、1台のスマホにイヤフォンとスピーカーを同時接続でき、簡単に切り替えられます。
ブロードキャスト
音源元となるオーディオソースデバイスと、複数のオーディオシンクデバイスとを接続し、データを一斉配信できる機能です。
この機能を使い、スマホの音楽を聴くときに複数の友人で共有できます。
また、位置情報にもとづくオーディオ共有もできるので、公共の場で同時にデータを共有し、その場にいる人たちが各自で放送音声を聞くことも可能になります。
LE Power Control
接続デバイスとの受信電界強度を測定し、相手側デバイスの送信パワーを調整する機能です。
双方機器の送受信パワーを最適化し、消費電力を抑えることができます。
より高度なセキュリティ機能
これまでのセキュリティにくわえ、Erratum 11838が組み込まれ、デバイス接続時のセキュリティがより高められました。
これにより、5.1以前のバージョンで指摘されていた暗号化キーに関する脆弱性が修正されています。
「クラシック」と「LE」の規格に注意
Bluetooth 4.0からは、LE(Low Energy)という消費電力の少ない規格が取り入れられました。
LEは3.0以前に使われていた規格「クラシック」とは異なります。
規格が同じなら機器間の互換性があるものの、クラシックとLEのように規格が異なる場合、互換性がないことに注意しなければなりません。
まとめると以下のとおりです。
- Bluetooth 1.0~3.0は互換性あり
- Bluetooth 4.0~5.2は互換性あり
- Bluetooth 3.0以前と4.0以降では互換性なし
ただし、機器によっては3.0以前と4.0以降を両方搭載しているものがあります。
その場合は双方の機器を接続することが可能です。
ロゴを見ると、互換性の有り無しについて判断できるので参考にしてください。
- Bluetooth 3.0以前の機器間で互換性あり
- Bluetooth SMART 4.0以降の機器間で互換性あり
- Bluetooth SMART READY 3.0以前と4.0以降の両方を搭載しているため互換性あり
Bluetoothのバージョンまとめ
本記事は「Bluetooth 5.2はどう進化した?バージョン5.1との違いと新しく追加された仕様を解説!」について書きました。
Bluetoothは、数字が大きいほど新しいバージョンですが、3.0以前と4.0以降では互換性が変わるので、商品選びの際に着目してみましょう。
マクリン( @Maku_ring)でした。