仕事にもプライベートにもANC搭載ワイヤレスイヤホンが必須のマクリン( @Maku_ring)です。
過去さまざまなイヤホンを使ってきましたが、ワイヤレスイヤホンに求めるのは、音質やANC強度はもちろん、マルチポイント対応は外せないところ。
マルチポイントとはBluetoothの同時接続のことで、ノートPCとスマホ間で接続をいちいち切り替えすることなく、音声を発したデバイス側に接続が自動で切り替わる機能です。
快適すぎて、マルチポイントの付いているイヤホンを使ったら、それナシでは暮らせないほどですが、いかんせん搭載モデルが少なすぎます。
Technics EAH-AZ60とJabra Elite 85tくらいだったのですが、ここに来て思わぬ超新星がやってきました。
それがAnkerの「Soundcore Liberty 3 Pro」です。
Soundcore Liberty 2 Proの後継機種にして同社のフラグシップモデルであり、ANC・外音取り込み・専用アプリ・ワイヤレス充電と、まさに全部入りの最強モデル。
さらに高音質コーデックのLDACにも対応し、マルチポイントもそなえるなど、現状考えうる全ての機能をそなえています。
解像感・分離感・音場ともに、これまでのAnkerからステージを1つ上がったものに仕上がっています。
ANCの強度も高く、HearIDと合わせるとより効果的にはたらき、これまでで最高だったLiberty Air 2 Proすら若干上回るほど。
そこで本記事は外観と付属品を紹介し、Ankerの他製品と比べた後に、アプリ・ANC・外音取り込み・音質面を紹介していきます。
- マルチポイント搭載
- LDACコーデック対応
- 高いANC性能
- ハイエンドの音設計
- HearIDがすごい
- 装着センサー搭載
- 通話品質はふつう
- 3Dオーディオが人工的でやや不自然
- LDAC使用時のバッテリーが短い
タップできるもくじ
Soundcore Liberty 3 Proの概要
「Soundcore Liberty 3 Pro」は生活防水仕様(IPX4)の完全ワイヤレスイヤホンです。
製品名 | Soundcore Liberty 3 Pro |
---|---|
防水・防塵規格 | IPX4 |
接続方式 | Bluetooth 5.2 |
対応コーデック | SBC / AAC / LDAC |
重量 | イヤホン約14g / ケース込み約57g |
バッテリー | 最大8時間(ANCで6時間) / 最大32時間(ANCで24時間) LDAC使用時:最大4時間(ANCで3時間) / 最大16時間(ANCで12時間) |
ドライバー | バランスド・アーマチュアドライバー 10.6mmダイナミックドライバー |
充電方式 | USB-C / ワイヤレス |
装着センサー | |
ANC | |
外音取り込み | |
マルチポイント | |
価格 | 19,800円 |
ジュエリーのような光沢感をもつタッチセンサー部が印象的な、丸みを帯びたイヤホンデザインに仕上がっています。
Soundcore Liberty 2 Proと同じくデュアルドライバー構造でありつつ、設計を見直し、小型化を実現しています。
最上位モデルだけに装着センサーも搭載し、イヤホンの取り外しにともなう音声停止に対応しています。
イヤホン単体で約14g、ケースふくめて約57gと、単体ではやや重めです。
ケースはプラスチックではあるものの、表面はしっとりした触感で上質な雰囲気をまとっています。
ただ、2万円近くすることをふまえると、素材面のちがいがあっても良かったかも……。
Liberty 2 ProやLiberty Air 2 Proと同様、同社の上位モデルに採用されるスライド機構で開きやすく、この点はポイントが高いです。
ケースを開いた収納部の外周はクロムメタルの加飾がされ、他機種と差別化が図られています。
ケースのサイズは約71 x 56 x 28mmでAirPods Proとほぼ変わらず、携帯性は充分。
付属品はイヤホン本体とイヤーチップとイヤーウィング、USB-C to Aケーブルです。
イヤーチップとイヤーウィングは4種類ずつ用意されているものの、Liberty Air 2 Proは9種類もあったので、こちらももうちょっと豊富だとうれしかったところ。
Liberty 2 Pro・Liberty Air 2 Proとのスペック比較
Liberty 3 Proと前モデルのLiberty 2 Pro、それからANC搭載モデルのLiberty Air 2 ProとLife P3でスペック比較してみました。
モバイルは左スライドで全表示
製品名 | Liberty 3 Pro |
Liberty 2 Pro |
Liberty Air 2 Pro |
Life P3 |
---|---|---|---|---|
重量 | イヤホン約14g / ケース約57g | イヤホン約8g / ケース約70g | イヤホン約10g / ケース約61g | イヤホン約10g / ケース約60g |
ANC | ||||
HearID | イコライザー / ANC | イコライザー | イコライザー | |
外音取り込み | (第二世代) | |||
マルチポイント | ||||
装着センサー | 搭載 | 非搭載 | 搭載 | 非搭載 |
バッテリー | イヤホン単体で約8時間(ANCで6時間) ケースをふくめて最大32時間(ANCで24時間) |
イヤホン単体で約7時間 ケースをふくめて最大26時間 |
イヤホン単体で約7時間(ANCで6時間) ケースをふくめて最大26時間(ANCで21時間) |
イヤホン単体で約7時間(ANCで6時間) ケースをふくめて約35時間(ANCで30時間) |
充電方式 | USB-C / ワイヤレス充電 | USB-C / ワイヤレス充電 | USB-C / ワイヤレス充電 | USB-C / ワイヤレス充電 |
防水規格 | IPX4 | IPX4 | IPX4 | IPX5 |
接続方式 | Bluetooth 5.2 | Bluetooth 5.0 | Bluetooth 5.0 | Bluetooth 5.0 |
対応コーデック | SBC / AAC / LDAC | SBC / AAC / LDAC(第二世代) | SBC / AAC / LDAC | SBC / AAC |
ドライバー | 10.6mm | 11mm | 11mm | 11mm |
価格 | 19,800円 | 13,980円 | 12,980円 | 8,990円(ブラック) 9,990円(ブラック以外) |
Liberty 3 Proは同社最高値のイヤホンですが、それも納得のフルスペックを実現しています。
他モデルにないところでいうと、これだけの進化をとげています。
- 聴覚テストでパーソナライズしてくれるHearIDが、イコライザーだけでなくANCにも適用
- Bluetoothが5.2にアップグレードし、接続性がさらに強化
- マルチポイント搭載
マルチポイント・LDAC対応・ワイヤレス充電搭載と、他社のハイエンドイヤホンでもここまで機能がそろっているモデルは他にありません。
なかでもマルチポイント搭載は大きく、複数機器にイヤホンをBluetooth接続するのが当たり前の現代では必須機能といえます。
唯一近いのはTechnics EAH-AZ60ですが、あちらがワイヤレス充電非対応なので本機はもはや死角なし。
Liberty 2 ProやLiberty Air 2 Proの音質も、価格をふまえると優秀ですが、Liberty 3 Proはひとクラス違います。
深みとパンチのある低音に豊潤な中音域・艶感のある高音に、より大きく広々とした音場と、まさにハイエンドの音設計になっています。
ANCの完成度も高く、HearIDで自身に適応させた状態ではかなり効果的にはたらきます。
アンカー製品の中ではもっとも高価なので、コスパ面ではLiberty Air 2 Pro・Life P3にゆずるものの、全体的な完成度は間違いなくナンバーワンです。
Soundcore Liberty 3 Proのレビュー
Soundcore Liberty 3 Proの特徴を紹介します。
必要十分なバッテリー性能かつワイヤレス充電対応
Liberty 3 Proは過不足ないバッテリー性能を持ち合わせています。
イヤホン単体で最大8時間(ANCで6時間)、ケースをふくめ最大32時間(ANCで24時間)使用可能です。
ただし、LDAC使用時は最大4時間(ANCで3時間)、ケースふくめ最大16時間(ANCで12時間)とかなり短くなるので注意ください。
充電はUSBタイプC(USB-C)にくわえ、ワイヤレス充電にも当然対応し、充電面での抜かりはありません。
専用アプリはHearIDふくめてかなり豊富
専用アプリでは以下の機能をとりそろえ、かゆいところに手が届く充実度です。
- ANC・外音取り込みなどのモード設定
- タッチコントロール設定
- 装着テスト
- HearIDサウンドテスト
- HearID ANCテスト
- イコライザー設定
ホーム画面では、イヤホン・ケースのバッテリーとサウンドモード(ANC/標準/外音取り込み)が確認できます。
モード設定では、本機からの新機能であるノイズキャンセリングのパーソナライズ設定(HearID)が可能です。
HearIDでは騒音環境下で耳の圧力を分析し、不快感を感じることなく、処理できるレベルのANCに調整してくれます。
HearIDのテストが完了すると、ANCは自動のモード切り替えと手動のモード切り替えから選べるようになります。
HearIDはANCだけでなく、イコライザーでも適用でき、個別にパーソナライズされたサウンドモードに設定することができます。
サウンドモードのHearIDでは、両耳でそれぞれ聴覚感度をテストし、究極のイコライザー設定が可能です。
HearID未実施の状態では低音がけっこう重めの設定なので、最初になるべく済ませることをおすすめします。
イコライザーは、HearID以外に3Dオーディオ・プリセット・カスタムから設定可能です。
イコライザーは8段階の音域調整で細かく合わせられる(カスタム)のにくわえ、22種類ものパターンがプリセットされ、自分好みの音設定を見つけやすくなります。
コントロールでは、タッチコントロールの操作方法をカスタマイズできます。
シングルタップのオンオフにくわえ、下記6つの操作アクションに各操作を割り当てることができます。
- 左のシングルタップ
- 右のシングルタップ
- 左のダブルタップ
- 右のダブルタップ
- 左を2秒間長押し
- 右を2秒間長押し
各操作アクションには全操作をあてがえるので、制限なく使いやすいです。
細やかな配慮として、長押し時のモード設定でANC・外音取り込み・標準をふくめるふくめないが選べるので、要らないモードはカットもできます。
デフォルトのシングルタップ・ダブルタップ操作だとちょっと微妙だったので、以下の操作に変更しました。
装着テストでは、最適な密閉性のイヤーチップを探すテストを実施でき、自分にとってベストな装着性を見つけることができます。
マルチポイント対応
Soundcore Liberty 3 Proのアドバンテージの1つが、マルチポイントに対応していること。
Bluetoothの接続先を設定側で変えることなく、2台のデバイス側で通話や音楽再生が円滑に切り替わり、搭載モデルを一度体感すると、無しのモデルが選べなくなるほどの快適性です。
設定方法も簡単で、イヤホンをケースに収めた状態で背面ボタンを長押しすれば、Bluetooth接続先を増やすことができます。
アプリ上からも管理でき、こちらからでも接続先を増やせるようになっています。
最適化すればSONYに次ぐレベルのANC性能
Soundcore Liberty 3 ProのANCは、手動と自動で分かれています。
手動では弱・中・強の3段階に変更できるものの、その効き自体は自動モードに比べるとややマイルド。
本領を発揮するなら、HearID ANCテストを実施した上で自動モードで使用するのがベストです。
最適化されたANCはかなり強力で、同社でナンバーワンなのはもちろん、SONY WF-1000XM4を10とすると8.5〜9くらいあります。
食器洗い機・空調音・インターフォン・話し声といった生活音から、車や電車の走行音までわりと抑制してくれます。
ロボット掃除機がすぐ近くを往復しても気にせず音楽に没入でき、甲高い物音も遠くに追いやってくれます。
さらに「風切り音の低減」をオンにすることで、ANC中に風切り音もなるべくカットしてくれる優秀ぶり。自転車走行時にかなり重宝します。
外音取り込みモードでは、全ての周囲音を取り込む「全ての外音」と音声重視で取り込む「音声フォーカス」で切り替えられるようになっています。
「全ての外音」はなかなか効果的で、音が変に強調されてたり歪んだりすることなく、周囲音の詳細をしっかり拾い上げてくれます。
妻が洗い物をしながら話しかけても問題なく会話できるレベルでしたが、Liberty Air 2 Proとそう大差ありませんでした。
必要な環境音だけ効率よく拾いたいときは、外音取り込みでも風切り音の低減が活躍します。
低音に特徴のあるハイクオリティサウンド
Soundcore Liberty 3 Proは、耳の中をほどよく満たしつつ、エンハンサーでホールド性も高いという、いいとこ取りの装着感です。
表面のタッチセンサー感度は悪くないものの、ダブルタップをシングルタップと誤認識することが若干あります。
操作 | L | R |
---|---|---|
再生 / 停止 | – | 2タップ |
曲送り | 2タップ | – |
音量を下げる | 1タップ | ― |
音量を上げる | – | 1タップ |
ANC / 外音取り込み / 標準 | 2秒長押し | 2秒長押し |
デフォルトのサウンドプロファイルだと、低音が重すぎる傾向があるものの、HearIDを行うことで修正されるので、最初に必ず行うようにしましょう。
HearID実施後の音質は素晴らしく、Liberty 2 ProやLiberty Air 2 Proを上回る解像感と音場をもっています。
音場はかなり広く、3Dオーディオモードにせずとも音楽がすぐ傍に感じられ、楽器の音がどこから発されているかといった定位感(表現合ってるかしら…?)を把握できるレベル。
低音は重くて厚みがあり、ボーカル音は目の前でブレスしているかのような息遣いやニュアンスを感じ取れます。
全体的にクリアではあるものの、鋭いというわけではなく、うまく抑制されています。
ただ、ROCK & POPSでギターや高音域のボーカルが目立つような楽曲だと、原音より高音がやや誇張される傾向があります。
耳障りなレベルではありませんが、気になる場合はイコライザーで少しトーンダウンしたほうがいいかも。
とはいえ、他のAnker製品からは一線を画す分離感と解像感を持ち合わせています。
ただし、SONY WF-1000XM4と比べると、低音の厚みは本機があり、中音域はSONYのほうがより明確で、高音域もSONYのほうが自然でより正確に聴こえるといったところ。
価格も1万円ちがいますし、音質ではSONYにさすがに軍配があがります。
Soundcore Liberty 3 Proはこんな人におすすめ
Soundcore Liberty 3 Proは「音質・ANCのレベルが高い、マルチポイント搭載のワイヤレスイヤホンが欲しい人」におすすめです。
音質・ANCともに同社ではナンバーワンであり、さすがフラグシップと呼べる完成度。
SONY WF-1000XM4やTechnics EAH-AZ60と比べて音質面ではさすがに劣るものの、機能面ではLiberty 3 Proがすぐれています。
Soundcore Liberty 3 Proレビューまとめ
本記事は「Anker Soundcore Liberty 3 Proをレビュー!同社最強のANCと音質を有する完全ワイヤレスイヤホン」について書きました。
Soundcore Liberty 3 Proは、同社のフラグシップモデルなのもうなずける、全要素がハイクオリティのイヤホンに仕上がっています。
現状考えうる全機能をそなえ、これがあればひとまず不満を抱えることはなさそうです。
どうも、マクリン( @Maku_ring)でした。
- マルチポイント搭載
- LDACコーデック対応
- 高いANC性能
- ハイエンドの音設計
- HearIDがすごい
- 装着センサー搭載
- 通話品質はふつう
- 3Dオーディオが人工的でやや不自然
- LDAC使用時のバッテリーが短い