どうも、USB PD対応機器を使いマクリン( @Maku_ring)です。
スマホにPC、ワイヤレスイヤホンにスマートウォッチと、扱うデジタル機器が増えてくると気になるのが充電問題。
そこでこれらを全て「USB Power Delivery(USB PD)」対応品で取りそろえ、充電周りを快適にしている方も多いのではないでしょうか。
最近では、そのUSB PDからさらに進化を遂げた「PPS(Programmable Power Supply)」という拡張機能が登場しています。
急速充電はもちろん、効率的な充電により発熱量を抑え、バッテリーの長寿命化も期待できるという、なんともすごそうな規格です。
ただ、具体的な機能・メリットが少し分かりづらいため、USB PDとの違いとあわせて分かりやすく紹介します。
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USB Power Delivery(USB PD)とは?
PPSはUSB PDをベースとしたオプション規格のため、まずはUSB PDについて理解する必要があります。
USB PDの特徴を簡単にまとめると以下のとおりです。
急速充電が可能
USB Power Delivery(USB PD)はその名のとおり、一度に大量の電力供給を可能にした充電規格。
一般的なUSB充電器の出力が5Wのところ、USB PDは最大100Wと20倍もの出力まで対応しています。
ひとつ注意が必要なのは、同じUSB PD対応機器でも対応出力はそれぞれ異なるということ。
たとえばiPhoneの場合、USB PDに対応しているのはiPhone 8以降ですが、その最新シリーズであるiPhone 13の対応出力は20W(従来のiPhoneの約4倍の充電速度)となっています。
USB PD対応品で全てそろえる必要あり
急速充電が可能なUSB PDですが、デジタル機器だけUSB PDに対応していればいいというわけではありません。
デジタル機器・充電器(あるいはモバイルバッテリー)・ケーブル全てをUSB PD対応品でそろえる必要があるのです。
デジタル機器と充電器はUSB PD対応なのにケーブルは対応品じゃないといったケースがよくあるので、気をつけましょう。
ケーブルはUSB Type-Cのみ対応
ケーブル選びで知っておきたいのが、USB PDに対応しているのは原則USB Type-Cケーブルのみであること。
USB A-TypeやMicro USBケーブルは、USB PDに対応していません。
ただし、iPhoneのみ例外的にLightning to USB Type-CケーブルでUSB PDに対応しています。
Programmable Power Supply(PPS)とは?
ベースとなるUSB PDについて理解したところで、ここからはPPS(Programmable Power Supply)について見ていきましょう。
機器に合った最適な充電が可能な規格
PPS(Programmable Power Supply)はUSB PD 3.0のオプション規格で、機器に合った最適な給電が可能となっています。
これまでのUSB PDには「供給する電気の量を段階的にしか変えられない」という課題がありました。
例えば「5V/9V/15V/20V」といったように、充電器側に設定された決められたリストの中から選び、その電圧で給電します。
スマホ側が受電できる電圧に合わせて給電する仕組みにはなっているものの、段階的にしか量を変えられないため、どうしても必要以上の電気を送ることになります。
するとスマホ側が必要な電気量に対し、充電器側が過剰な電気を送ってしまい、それがスマホの発熱などにつながっていました。
一方PPSは、電力を供給する際の電圧/電流を小刻みに変えることで、それを克服しています。
この機能により、それぞれの機器にぴったりのムダのない電気量を送って充電できるようになっているのです。
効率よく電気を送り、ロスを最低限にする
これまでのUSB PDは、充電器側が30W分の電気を送っているのを、スマホ側でなんとか18Wにまで調整してから充電していました。
これは充電器側が大量の水を送ることができる太いパイプに対し、スマホ側は細いパイプになっていて、そこに大量に水を流し込んでいたイメージです。
すると、スマホ側で水の流れが滞り、ロスが生まれてしまうのがイメージできるかと思います。
対応出力の差がロスになると、電気を無駄に消費したり、スマホ側が発熱してしまうというのが、USB PDの問題でした。
先ほどの例だと、充電器側が太いパイプで、スマホ側が細いパイプになっているのは変わりません。
しかし、流す水の量を細いパイプに合わせた量にするため、スマホ側にスムーズに水が流れることになり、ロスが生じにくくなります。
したがってPPSでは、ムダな電気を消費することなく、適切な量を送れるようになったのです。
機器の発熱が減り、バッテリー寿命が延びる
スマホを充電していると避けられない、スマホ本体が熱くなってしまう現象。
ある程度の発熱は仕方ないものの、必要量以上に給電することで、無駄に熱を発してしまっているのが現状です。
この発熱はバッテリーへの負荷も大きいため、バッテリー寿命が短くなりやすいというデメリットにつながっています。
PPSによって最適な量の給電が可能になれば、バッテリーへの負荷を最小限に抑えられ、長寿命化が実現できます。
すると、同じスマホをなが~く快適に使えるようになるので、買い替え頻度も減って嬉しいことづくめ。
PPS対応の機器は?
2021年現在、PPS対応デバイスは多くありません。
Samsungのスマホ「Galaxy」の一部が対応している程度です。
PPSを使ってみたい方は、Galaxy S21シリーズなどのSamsung製スマホとPPS対応充電器を組み合わせてみましょう。
Samsungでは「Super Fast Charging」と銘打っていますが、中身は基本的にPPSです。
機種によって、最大25Wの「Super Fast Charging」と最大45Wの「Super Fast Charging 2.0」に分かれています。
間をつなぐケーブルはUSB PD対応であれば問題なく、あとは供給ワット数が足りているかどうかだけ確認ください。
PPSは今まさに開発の真っ最中で、対応機器の普及もまだまだこれから。
ただ、将来性も高く今後増えていくのは間違いないので、期待して待ちましょう。
USB PDとPPSが描く未来
最後にUSB PDやPPSが普及していくと、どんなメリットがあるのかを簡単に紹介していきます。
現在デスクトップPCやテレビなどの大型機器は、USBでは充電できず、専用のACアダプタとケーブルを使って充電しています。
しかし、USB PDのように高出力の充電規格が普及することで、あらゆる機器がUSBで充電できるようになるのです。
しかも、USB Type-Cは充電だけでなく映像出力も可能なので、ケーブルはUSB Type-Cだけを持てば充分という便利な時代になろうとしています。
あらゆるデジタル機器には、充電の際の発熱を逃がすためにクーリング機能や放熱機構を搭載しているため、どうしても機器が大型化してしまいます。
これがPPSにより、充電時の発熱がおさえられるため、放熱機構が不要になり、機器の小型化がさらに進むといわれています。
我々ユーザーからすると、身の回りの機器がもっと軽くなり、バッテリーの寿命も延びるということで、メリットもとても多いのです。
まとめ
本記事は「PPSとはどんな規格?USB PDとの違いも分かりやすく解説!」について書きました。
スマホやパソコンは毎年のように最新機種が発売されていますが、実はそれを支える充電技術も進化を遂げています。
USB PD PPS対応品はまだ少ないものの、今後間違いなく普及する規格ですので、ぜひ参考にしてみてください。
どうも、マクリン( @Maku_ring)でした。
大変参考になりましたが、気になる事があります。
PPSが、ガジェットに対して最適な電圧と電流を探して対応していくという事は、
予め用意した電圧と電流の組合せの中から選択するPD2.0と違って、
PPS対応のスマホであれば、どんなスマホでも不具合が起こらないと考えてよいのでしょうか?