ふだん使いのワイヤレスイヤホンは、音質と充電面、マルチポイントにこだわりたいマクリン( @Maku_ring)です。
2〜3万円のANC搭載イヤホンともなると、音質面に不満をおぼえるモデルはほとんどなく、機能面で差別化を図るメーカーが増えてきています。
ANCの性能が高いのは大前提で、個人的にほかに外せない機能がワイヤレス充電とマルチポイントです。
あとマルチポイントは、複数デバイスにイヤホンをつなぐ機会が多い人にとっては「コレがないと生きていけん…!」というほどの便利機能。
このマルチポイントを強化し、前作EAH-AZ60の弱点を完全になくしたモデルが、Technics「EAH-AZ80」です。
前作でも素晴らしかった音質・ANCはさらに研ぎ澄まされ、マルチポイントはなんと3台同時接続に対応しました。
ワイヤレス充電&到着センサー非搭載という欠点も克服し、名実ともに最強のワイヤレスイヤホンにのし上がった印象です。
本記事ではEAH-AZ80をレビューしていきます。
- マルチポイント搭載(3台同時接続対応)
- LDACコーデック対応
- JustMyVoiceによる高い通話性能
- 高いANC・外音取り込み性能
- クリアで臨場感あふれるサウンド
- マルチポイント3台にするとLDAC使用不可
- 長押し操作に音量調整割り当て不可
タップできるもくじ
Technics EAH-AZ80の概要
「Technics EAH-AZ80」は生活防水仕様(IPX4)の完全ワイヤレスイヤホンです。
製品名 | Technics EAH-AZ80 |
---|---|
防水・防塵規格 | IPX5 |
接続方式 | Bluetooth 5.3 |
対応コーデック | SBC / AAC / LDAC |
重量(イヤホン / ケース込み) | 約14g / 約50g |
バッテリー駆動時間 (上)イヤホン (下)ケース込み |
最大7時間(ANCで6.5時間) 最大24時間(ANCで23時間) |
ドライバー | 10mm径 アルミ振動板 |
充電方式 | USB-C / ワイヤレス |
装着検出機能 | |
ANC | |
外音取り込み | |
専用アプリ | |
マルチポイント | |
価格 | 36,630円 |
ラインナップはブラックとシルバーの2色で、どちらも使いやすいカラーリングです。
イヤホン本体は、同心円状の金属光沢を放つタッチセンサー面にTechnicsのロゴが添えられ、洗練された造形に仕上がっています。
前作にはなかった装着検出センサーも搭載し、耳からの脱着にともない、音楽の自動再生・停止に対応しています。
ケースの質感も高く、天面はツールマーク加工にロゴの刻印が押され、価格ならではの所有欲を満たすものとなっています。
前作と並べてみると、サイズはほとんど変わらないものの(天面の面積はやや広い)、天面の加工が異なるためか、高級感は本機のほうが感じられます。
重量はイヤホン単体で約13g、ケースふくめ約48gと、標準的な重さです。
個人的に気になるのがケースからのイヤホンの取り出しやすさですが、本機は飛び出し気味なので、取り出しやすいよう配慮されています。
付属品はイヤホン本体とUSB Type-C to Cケーブル、イヤーチップは前作同様7種類(XS2、S2、XS1、S1、M、L、XL)とバリエーション豊かに用意されています。
イヤーチップの出来はかなり良く、サイズも豊富なので、自分の耳によりフィットするものを選べます。
EAH-AZ60M2・60・70Wとのスペック比較
本機と同社のANC搭載モデル「EAH-AZ60」「EAH-AZ70W」ならびに同時発売の「EAH-AZ60M2」との比較は以下のとおりです。
左スライドで全表示
製品名 | Technics EAH-AZ80 |
EAH-AZ60M2 |
EAH-AZ60 |
EAH-AZ70W |
---|---|---|---|---|
防水規格 | IPX4 | IPX4 | IPX4 | IPX4 |
接続方式 | Bluetooth 5.3 | Bluetooth 5.3 | Bluetooth 5.2 | Bluetooth 5.0 |
対応コーデック | SBC / AAC / LDAC | SBC / AAC / LDAC | SBC / AAC / LDAC | SBC / AAC |
ドライバー | 10mm径ドライバー アルミ振動板 | 8mm径ドライバー バイオセルロース振動板 | 8mm径ドライバー バイオセルロース振動板 | 10mm径ドライバー バイオセルロース振動板 |
重量 | イヤホン約14g / ケース込み約50g | イヤホン約14g / ケース込み約50g | イヤホン約12g / ケース込み約51g | イヤホン約14g / ケース込み約79g |
装着検出機能 | ||||
ANC | ||||
外音取り込み | ||||
マルチポイント | (3台) | (3台) | (2台) | |
充電方式 | USB-C / ワイヤレス | USB-C / ワイヤレス | USB-C | USB-C |
バッテリー | イヤホン単体:最大7時間(ANCで6.5時間) ケース込み:最大24時間(ANCで23時間) |
イヤホン単体:最大7時間(ANCで6.5時間) ケース込み:最大24時間(ANCで23時間) |
イヤホン単体:最大7.5時間(ANCで7時間) ケース込み:最大25時間(ANCで24時間) |
イヤホン単体:最大7.5時間(ANCで6.5時間) ケース込み:最大22.5時間(ANCで19.5時間) |
価格 | 36,630円 | 27,720円 | 27,720円 | 25,000円 |
Technics EAH-AZ80とEAH-AZ60M2はいずれもワイヤレス充電と3台同時接続のマルチポイント、装着検出センサーを搭載し、前作までの弱点を完全に埋めたモデルとなっています。
この両者では約9千円の価格差があるので、コスパにこだわる人はEAH-AZ60M2がおすすめです。
EAH-AZ80では、音質・ANC・外音取り込み・マイクと音環境での強化が図られ、サウンド面では本機がずば抜けています。
Technics EAH-AZ80のレビュー
Technics EAH-AZ80の特徴を紹介していきます。
標準的なバッテリー性能だがワイヤレス充電対応
ANCオフ状態のバッテリー性能はイヤホン単体で最大7時間、ケースふくめ最大24時間と標準的。
ANCオン時でも使用時間がほとんど変わらない(イヤホン単体:最大6.5時間、ケース込み:最大23時間)ので、使いやすくできています。
ケース背面にはUSB Type-Cの充電ポートを搭載しています。
さらに、前作の残念ポイントだったワイヤレス充電非対応も克服し、本機はワイヤレス充電に対応しました。
ケーブルの抜き挿しなしに充電できるのは超便利なので、本機と一緒にワイヤレス充電器もぜひ買いましょう。
最大3台のマルチポイント対応
EAH-AZ80は前作同様、マルチポイントに対応しています。
Bluetoothの接続設定を切り替えることなく、最大3台のデバイス間で接続機器がスムーズに切り替わります。
ただし、3台接続にするとLDACコーデックが使用できなくなるので、LDACを維持したままマルチポイントを使用するのであれば2台接続にとどめるのがおすすめです。
機能豊富な専用アプリは健在
専用アプリ「Technics Audio Connect」では主に以下のことが可能です。
- 外音コントロール
- イコライザー設定
- タッチ操作のカスタマイズ
- イヤホンを探す
- Just My Voice
通話時に周りの騒音・ノイズを抑制する「Just My Voice」やサウンドモードの切り替え、マルチポイントの設定など、あらゆる設定を内包しています。
ダッシュボード画面では、各イヤホンのバッテリー残量や接続コーデックが確認できます。
外音コントロールでは「ノイズキャンセリング」「オフ」「外音取り込み」を切り替えることが可能です。
ANCは抑制効果をより発揮できるよう、初回設定時に最適化が行えるようになっています。
外音取り込みでは、周囲の音をそのまま取り込む「トランスペアレント」と、会話やアナウンスの声を強調する「アテンション」の2種類が用意されています。
サウンド設定では、なにも調整しないダイレクトとプリセットされたイコライザー6種からの選択、5つの音域の手動カスタムが可能となっています。
タッチ操作のカスタマイズにも対応し、左右イヤホンの「シングルタップ」「ダブルタップ」「トリプルタップ」「長押し」と計8種類の操作アクションに各操作を割り当てることができます。
タップ操作には再生/停止や曲送り・戻しだけでなく、音量調整やさまざまな外音コントロール操作など、多くの選択肢が用意されています。しかし、長押し操作には音量調整が割り当てられない仕様となっています。
イヤホンを探す機能は「音を鳴らして探す」と「位置情報を使って探す」の2種類が用意されています。
2種類あることで「位置情報を使って探す」で大まかな場所をさぐり、そこから「音を鳴らして探す」ことで細かい場所を探し出すといったことが可能です。
さらに、通話時に周りが騒がしくても自分の声だけを届きやすくしてくれる「JustMyVoice」も搭載しています。
アプリには実際に相手が聞く音声を自分も聞き、その音の波形を確認できる機能までそなわっています。
あと、本機ならではの機能として「マルチポイントの台数設定」が可能です。
Technics EAH-AZ80は最大3台まで接続可能ですが、前述のとおり3台時はLDACが使えなくなるため、音質を犠牲にしたくないときは1台あるいは2台にするといった調整ができるようになっています。
違和感のない高性能なANCと外音取り込み
ANC性能はかなりすぐれ、AirPods Pro 2やSONY WF-1000XM4より遮音性能は上だと感じました。
環境音を違和感なく遠くに追いやってくれるので、僕のすぐ横を車が通過したり、同じ部屋で掃除機をかけていても全く気になりません。
人の声もかなり抑えてくれるので、オフィス使用にも適しています。
外音取り込みもかなりイケていて、マイクが有能なのか「いかにもマイクで集音してます」感を全く感じませんでした。
ホワイトノイズもほとんどなく、ごく自然に周囲音を取り込んでくれるので、満足度のかなり高い仕上がりでした。
クリアさと臨場感を両立した高解像サウンド
Technics EAH-AZ80の装着感は非常に安定し、軽いジョギングをしても全く落ちない安心感があります。
筐体部分が支えているというより、イヤーチップがすっぽりと耳穴にフィットすることで高い安定性を実現している感じです。
イヤホン表面はタッチセンサーながら操作性はかなり良く、前作同様「ピッ」「ピピッ」「ピピピッ」とタップした回数に応じて反応音の変わる仕様です。
操作 | L | R |
---|---|---|
再生 / 停止 | 1タップ | 1タップ |
曲送り | ― | 2タップ |
曲戻し | ― | 3タップ |
音量を下げる | 2タップ | ― |
音量を上げる | 3タップ | ― |
ANC / 外音取り込み / OFF | ― | 長押し |
音声アシスタント | 長押し | ― |
受話 | 着信中に1タップ | 着信中に1タップ |
着信拒否 | 着信中に長押し | 着信中に長押し |
通話終了 | 通話中に長押し | 通話中に長押し |
音質はEAH-AZ60の傾向はそのままに、解像感がさらに高められ、オールマイティに磨きのかかったサウンドに仕上がっています。
細かい楽器音やボーカルの息遣いもしっかり捉えられ、音の躍動感と迫力を感じることができます。
クリアでありながらグサッと刺すような鋭さや嫌な感じはなく、音に柔らかさもそなえているのが印象的。
高音域のクリアさとボーカルの伸びやかさは前作以上で、低音域は量感が増し、ジャンルを問わずに( ただ、男性ボーカルのROCK & POPSが得意)音楽を楽しめるイヤホンに進化したといえます。
音のクリアさ・柔らかさ・臨場感は前作機から高いレベルでしたが、そこに解像感と低音の強さが加わり、より盤石な音質になりました。
Technics EAH-AZ80はこんな人におすすめ
Technics EAH-AZ80は「音質・ANC・外音取り込みのレベルが高い、マルチポイント搭載のワイヤレスイヤホンが欲しい人」におすすめです。
イヤホン購入時にもっとも重視したい「音質」と「ANC」は、これまでレビューしたイヤホンの中でもかなりの上位。
しかも、ワイヤレス充電や装着センサー、3台のマルチポイントまでそなえ、もはや弱点のない機種といえます。
価格は高いものの、同価格帯のイヤホンで良い機種を探しているなら、本機が現時点でもっともおすすめです。
Technics EAH-AZ80レビューまとめ
本記事はEAH-AZ80をレビューしました。
3万円台と安くはないものの、音質・ANC・外音取り込みふくめた総合力は他を追随を許さない完成度。
どうも、マクリン( @Maku_ring)でした。
- マルチポイント搭載(3台同時接続対応)
- LDACコーデック対応
- JustMyVoiceによる高い通話性能
- 高いANC・外音取り込み性能
- クリアで臨場感あふれるサウンド
- マルチポイント3台にするとLDAC使用不可
- 長押し操作に音量調整割り当て不可