ワイヤレスイヤホンの中でも1軍のイヤホンには共通項があるマクリン( @Maku_ring)です。
その共通項がいわゆる「全部入り」。
全部入りとは「アクティブノイズキャンセリング(ANC)・外音取り込み・ワイヤレス充電・専用アプリ」をそなえ、機能性にすぐれるモデルのことです。
ただ、全部入りにこだわりすぎると、1万円をゆうに超えてしまい、おいそれと触手を伸ばしづらかったのもまた事実。
その状況に風穴を開けるモデルのひとつが、Ankerの「Soundcore Life P3」です。
同社のANC搭載モデルで最廉価(8千円台)にもかかわらず、上位モデル「Soundcore Liberty Air 2 Pro」と同レベルのノイキャン性能をもっています。
また、兄貴分の「Soundcore Life A2 NC」で省略されたワイヤレス充電にも対応し、アンダー1万円で真の全部入りを実現。
さらに後発品だけあり、「ゲームモード」「睡眠モード」「デバイスを探す」など、いくつかの新機能も搭載しています。
いくつかの弱点を抱えているものの、それを差し引いても同価格帯でトップクラスの完成度をほこります。
そんなわけで本記事では「【Soundcore Life P3レビュー】8千円台で全部入りと上位レベルのANCを実現するAnkerの完全ワイヤレスイヤホン」について書きます。
- 8千円台で全部入り
- 上位機種と同等のANC性能
- 豊富なアプリ機能
- Bass UPが改善
- タッチセンサーの感度が悪い
- HearID非搭載
- 装着センサー非搭載
- 通話品質は平凡
- apt-X非対応
タップできるもくじ
Soundcore Life P3の概要
「Soundcore Life P3」は完全防水仕様(IPX5)の完全ワイヤレスイヤホンです。
製品名 | Soundcore Life P3 |
---|---|
重量 (イヤホン / ケース合計) |
約10g / 約60g |
音楽再生時間 (イヤホン / ケース合計) |
最大7時間(ANCで6時間) / 最大35時間(ANCで30時間) |
ドライバー | 9㎜ダイナミックドライバー |
防水性能 | IPX5 |
対応コーデック | AAC / SBC |
充電ポート | USB-C / ワイヤレス |
Bluetooth | 5.0 |
イヤホン本体は「Soundcore Liberty Air 2 Pro」に通ずる、軸のシュッと伸びたスタイリッシュな形状をしています。
軸の先端にはマイク穴がついています。
装着センサーは残念ながら非搭載なので、イヤホン脱着にともなう音楽再生・自動停止には対応していません。
イヤホン単体で約10g、ケースふくめて約60gと標準的な重量です。
ケース上部にはキラリと光るロゴがプリントされ、光沢感のあるマット仕上げの筐体がエレガント。
ラインナップはブラックふくめ、ネイビー・ライトブルー・オフホワイト・コーラルレッドの5色で、無骨なガジェットのイメージを覆す爽やかなカラーリングなので、幅広いユーザーが使いやすいです。
ケースのフタは「Soundcore Liberty 2 Pro」がスライド式なのに対し、本機はパカッと開ける方式なので、この辺はグレードなりの差異があります。
ケースは約53 x 61 x 31mmと持ち運びに最適なサイズであり、デニムポケットにも余裕で入ります。
付属品はイヤホン本体とイヤーチップ(XS/S/M/L/XL)、USB-C to Aケーブルです。
Soundcore Liberty 2 Pro・Life A2 NCとのスペック比較
同社のANC搭載モデルである最上位機種「Soundcore Liberty Air 2 Pro」、上位機種「Soundcore Life A2 NC」との比較は以下のとおりです。
モバイルは左スライドで全表示
製品名 | Soundcore Life P3 |
Soundcore Life A2 NC |
Soundcore Liberty Air 2 Pro |
---|---|---|---|
重量 | イヤホン約10g / ケース約60g | イヤホン約13g / ケース約68g | イヤホン約10g / ケース約61g |
ANC | 3つのモード搭載 | 3つのモード搭載 | 3つのモード搭載 |
イコライザー | プリセット | プリセット | プリセット / HearID |
ゲームモード | |||
睡眠モード | |||
デバイスを探す | |||
装着センサー | 非搭載 | 非搭載 | 搭載 |
バッテリー | イヤホン単体で約7時間(ANCで6時間) ケースをふくめて約35時間(ANCで30時間) |
イヤホン単体で約7時間(ANCで6時間) ケースをふくめて約35時間(ANCで30時間) |
イヤホン単体で約7時間(ANCで6時間) ケースをふくめて最大26時間(ANCで21時間) |
充電方式 | USB-C / ワイヤレス充電 | USB-C | USB-C / ワイヤレス充電 |
防水規格 | IPX5 | IPX5 | IPX4 |
接続方式 | Bluetooth 5.0 | Bluetooth 5.0 | Bluetooth 5.0 |
対応コーデック | SBC / AAC | SBC / AAC | SBC / AAC |
ドライバー | 11mm | 11mm | 11mm |
価格 | 8,990円(ブラック) 9,990円(ブラック以外) |
9,990円 | 12,980円 |
Soundcore Life P3はエントリーモデルではあるものの、機能的にそこまで劣るわけではありません。
最上位機種と比較すると、装着センサーとHearIDが非搭載、上位機種からはむしろワイヤレス充電が追加されています。
しかも、両機種にはない機能も盛り込まれ「ゲームモード」「睡眠モード」「デバイスを探す」は本機のみの機能です。
Ankerは元来からコスパの高いイヤホンをリリースしていますが、Life P3でもそのコスパは健在どころか、もう一段引き上がった印象があります。
Soundcore Life P3のレビュー
Soundcore Life P3の特徴を紹介します。
過不足ないバッテリー性能かつワイヤレス充電対応
Soundcore Life P3はそこそこのバッテリー性能を持ち合わせています。
イヤホン単体で最大7時間(ANCで6時間)、ケースをふくめ最大35時間(ANCで30時間)使用可能です。
充電端子はもちろんUSB Type-Cポートで、10分の充電で2時間分の再生が可能というクイック充電にも対応しています。
エントリーモデルにもかかわらず、ワイヤレス充電にも対応し、この機能を削らなかったのはかなりポイント高いです。
専用アプリは新機能もあって満載
専用アプリでは、HearIDはカットされているものの、それ以外の機能は網羅し、後発ならではの新機能もそなえています。
ホーム画面では、イヤホンのバッテリーが確認できるほか、各種設定にアクセスできます。
右上の歯車アイコンをタップすると、タッチ音のオンオフが選択でき(オンがおすすめ)、本機からの新機能「デバイスを探す」もあります。
「デバイスを探す」から再生すると、聴覚テストのような音がイヤホンから流れ、イヤホンの在り処が分かるようになっています(欲をいえば、マップと連動していればなお助かるけど……)。
さらにもうひとつの新機能が「ゲームモード」。ゲームプレイ時に生じる映像と音のズレをできるだけ抑えるように制御してくれます。
モード設定では、ノイズキャンセリングモードの選択や、外音取り込みモードへの切り替えが可能です。
コントロールでは、左右の「シングルタップ」「ダブルタップ」「2秒間長押し」、計6つの操作アクションをカスタマイズできます。
シングルタップでは以下の機能を割り当てられます。
- 音量小
- 音量大
- 次へ
- 戻る
- 再生/一時停止
ダブルタップと2秒間長押しでは、それに「音声アシスタント」と「モード設定」を加えた7つのアクションと、多彩な機能に対応しています。
- 音量小
- 音量大
- 次へ
- 戻る
- 再生/一時停止
- 音声アシスタント起動
- モード設定(ANC・外音取り込み・オフ)
個人的にデフォルトの割り当てだと使いづらかったので、シングルタップ・ダブルタップのみ以下のように変えました。ご参考まで。
なおモード設定では、切り替えるモードに「ANC」「外音取り込み」「オフ」それぞれを含めるか否かが選べ、ユーザーのことを考えた細やかな機能になっています。
EQ設定も本アプリのハイライトの1つで、大きく分けて「プリセット」と「カスタム」から選べます。
カスタムでは、8バンドでなめらかに無段階調整でき、かなり細かく合わせることができます。
また、デフォルト以外に22種類ものプリセットが用意され、基本的にはカスタムを使うことなく、プリセットのいずれかで事足ります。
低音をしっかり鳴らしたいユーザー向けに「Bass UP」が用意されているのもポイントです。
最後に紹介するのが「デバイスを探す」「ゲームモード」に続く3つめの新機能「睡眠モード」。
11種類のヒーリングサウンドを自分好みに組み合わせ、自分だけの睡眠導入サウンドを作ることができます。
カウントダウンタイマーと合わせ、睡眠用イヤホンとしても使える懐の広さを実現しています。
同価格帯では最高レベルのANC性能
Soundcore Life P3は、8千円台で最強クラスのノイキャン性能をほこります。
それどころか、兄貴分のSoundcore Life A2 NC、最上位のSoundcore Liberty Air 2 Proと並び、AirPods Proと同等レベルで環境音を抑え込んでくれます。
他の2機種と同様、3つのノイズキャンセリングモード(交通機関 / 屋内 / 屋外)をそなえています。
3つのモードの違いはそこまで感じなかったので、基本的には交通機関モードでいいと思います。
車のエンジン音やロードノイズ、電車の走行音といった低音域をしっかり抑制し、キーボード音や空調音といった、比較的近くで発している音もかなり小さくしてくれます。
また、屋内モードも使ってみたのですが、背後で放映していたテレビの音、目の前でオンライン会議してた妻の声もわりと抑え込んでいたので、中音域にも効果的でした。
ただし、外音取り込みはもうちょっとがんばってほしいというのが正直なところ。
「全ての外音」と「音声フォーカス」という2種類のモードを搭載しているものの、どちらも想定ほどは上手く機能しませんでした。
外音取り込みをオンにして会話してみましたが、音量をかなり落とさねばならず、その状態でも言葉の聞き取りはちょっと難しかったです。
この部分に関してはSoundcore Liberty Air 2 Proのほうが上。
AirPods Proの自然さにももちろん及ばないレベルでした。
ただ、ANCと外音取り込みはいずれも風切り音をうまく低減できており、自転車に乗っている場合でも、風切り音が音楽に干渉しすぎることは全くなかったです。
ダイナミックな低音と安定した中音域
Soundcore Life P3は、耳の先端が安定するようにその周りをしっかりと密閉し、フィット感は良好です。
タッチセンサーの感度は、他の機種に比べてなぜかよろしくなく、シングルタップを認識しないことがちょくちょくありました。
シングルタップのときは、余韻を少し残すような感じでグッと押してあげるのがおすすめです。
操作 | L | R |
---|---|---|
再生 | – | 2タップ |
停止 | – | 2タップ |
曲送り | 2タップ | – |
曲戻し | – | – |
音量を上げる | – | 1タップ |
音量を下げる | 1タップ | – |
モード設定 | 2秒長押し | 2秒長押し |
音の解像感は最上位のLiberty Air 2 Proにゆずるものの、低音が強めで中高音もくっきり聴こえ、同価格帯ではトップクラスの音質です。
低音の量感がそこそこあるにかかわらず、ナチュラルで開放感のある中高音域もクリアかつ分離感も良く、各楽器の音にバランス良くフォーカスをあてられています。
同社のANC3機種で並べると、Liberty Air 2 Proがやや抜けており、兄貴分のSoundcore Life A2 NCと本機がほぼ同順といったところ。
ROCK & POPSやEDM中心に、ダイナミックな低音と安定した中音域を楽しむのにぴったりのイヤホンです。
Soundcore Life P3はこんな人におすすめ
Soundcore Life P3は「アンダー1万円で全部入りのワイヤレスイヤホンが欲しい人」におすすめです。
同価格帯のANC搭載イヤホンでも、AVIOT TE-D01qと並んで頭ひとつ抜けているのにくわえ、AVIOTにはないワイヤレス充電もついています。
ただ、価格をもう少し抑えたい人はEarFun Free Proもおすすめです。
Soundcore Life P3レビューまとめ
本記事は「【Soundcore Life P3レビュー】8千円台で全部入りと上位レベルのANCを実現するAnkerの完全ワイヤレスイヤホン」について書きました。
Soundcore Life P3は、AnkerのANCモデルではエントリーの位置づけながら、機能性・音質ともに妥協なく作られ、同価格帯のレベルを一段引き上げるイヤホンに仕上がっています。
しかも、8千円台にして正真正銘の全部入りであり、本機ならではのアプリ機能もふんだんに盛り込まれています。
どうも、マクリン( @Maku_ring)でした。
- 8千円台で全部入り
- 上位機種と同等のANC性能
- 豊富なアプリ機能
- Bass UPが改善
- タッチセンサーの感度が悪い
- HearID非搭載
- 装着センサー非搭載
- 通話品質は平凡
- apt-X非対応