どうも、VPNユーザーのマクリンです。
VPN(Virtual Private Network)は、海外限定の動画視聴やインターネットのセキュリティを高めるツールとして欠かせず、さまざまなVPNが存在します。
数あるVPNのなかからどれを選ぶか決める際、ポイントとなるのは通信速度でしょう。
そこで本記事では、有名なVPNサービスの通信速度を測定し、どれくらいの速度を期待できるのか実際に検証してみました。
各サービスの特徴が浮き彫りとなる検証結果になったので、VPNを選ぶ基準のひとつとして参考にしてみてください。
タップできるもくじ
VPNの仕組み
VPNは、インターネット中に仮想的な専用ネットワークを形成する仕組みです。
VPNでは通信データが常に暗号化されるため、通信中のデータを盗聴されたり漏えいしたりしても、第三者がその中身を知ることはできません。
使用者のIPアドレスも秘匿でき、第三者からは接続中のVPNサーバーのある国が利用者の国と判断されます。
ただし、データの暗号化とVPNサーバーを経由して接続するため、通常のインターネット接続よりも処理が多く、速度は通常より低下する傾向にあります。
そのため、実際にどれくらいの速度が出るのかを事前に把握しておくことが重要です。
VPNの速度を接続国別に比較
有名VPNサービスがどれくらいの速度が出るのか、実際に計測してみました。
計測したのは以下6つのVPNです。
VPNサーバーは日本にくわえ、サービスを利用する際にVPN経由で使うことの多い5ヶ国で計測しています。
速度測定にはSpeedtest.netを利用し、VPNを利用しない通常の速度も参考までに計測しています。
平均下り速度 | 平均上り速度 | 平均Ping値 |
---|---|---|
630.93Mbps | 598.20Mbps | 12ms |
日本サーバー
日本サーバーで下り・上りともに最高速度を出したのは、高速通信に定評のあるNordVPNです。
サービス名 | 平均下り速度 | 平均上り速度 | 平均Ping値 |
---|---|---|---|
VPNなし | 630.93Mbps | 598.20Mbps | 12ms |
NordVPN | 558.01Mbps | 579.27Mbps | 13ms |
ExpressVPN | 374.95Mbps | 410.74Mbps | 14ms |
Surfshark | 531.87Mbps | 393.86Mbps | 13ms |
CyberGhost | 522.26Mbps | 436.69Mbps | 12ms |
MillenVPN | 438.34Mbps | 560.17Mbps | 12ms |
Proton VPN | 436.30Mbps | 455.69Mbps | 13ms |
いずれのVPNも300Mbpsを超える速度が出ているので、日本サーバーはどのVPNサービスでも問題なく利用できるでしょう。
アメリカサーバー
アメリカサーバー(西海岸)に接続した場合も、下り速度のトップはNordVPN。
高品質のサービス提供が魅力のExpressVPNも、上り・下りともに優秀な数値でした。
サービス名 | 平均下り速度 | 平均上り速度 | 平均Ping値 |
---|---|---|---|
VPNなし | 630.93Mbps | 598.2Mbps | 12ms |
NordVPN | 483.8Mbps | 211.04Mbps | 261ms |
ExpressVPN | 310.91Mbps | 231.38Mbps | 263ms |
Surfshark | 307.31Mbps | 115.54Mbps | 262ms |
CyberGhost | 356.26Mbps | 85.96Mbps | 232ms |
MillenVPN | 116.08Mbps | 100.02Mbps | 272ms |
Proton VPN | 344.67Mbps | 169.54Mbps | 265ms |
VPNは、接続するサーバーが物理的に遠くなればなるほど速度が低下する傾向にあり、とくに下がりやすい上り速度が影響するのは、ビデオ会議やオンラインゲームなど大容量のデータ送信が必要なケース。
とはいえNordVPNやExpressVPN以外のVPNも、下り100Mbps / 上り80Mbpsの速度が出ているので、実際の利用時にストレスを感じるほどの影響は出ないでしょう。
トルコサーバー
日本からさらに距離のあるトルコに接続すると、速度低下が目に見えて表れました。
NordVPNとExpressVPNは、下り200Mbps以上 / 上り100Mbps以上の速度が出ているので優秀です。
サービス名 | 平均下り速度 | 平均上り速度 | 平均Ping値 |
---|---|---|---|
VPNなし | 630.93Mbps | 598.2Mbps | 12ms |
NordVPN | 330.16Mbps | 113.55Mbps | 604ms |
ExpressVPN | 260.05Mbps | 132.51Mbps | 500ms |
Surfshark | 279.42Mbps | 64.01Mbps | 601ms |
CyberGhost | 267.14Mbps | 10.14Mbps | 576ms |
MillenVPN | 130.39Mbps | 38.02Mbps | 598ms |
Proton VPN | 172.09Mbps | 88.82Mbps | 619ms |
NordVPNとExpressVPN以外のVPNは、下りは100Mbps以上をクリアしているものの、上りは低いと10Mbps程度のケースもあるので、サイト閲覧や動画視聴の利用に留めるのが良さそうです。
イギリスサーバー
ここまで優秀な速度を計測していたNordVPNも、イギリスサーバーの場合、上り速度が20Mbps台とかなり低下しています。
一方ExpressVPNは下り200Mbps以上 / 上り90Mbps台を維持し、ほかのVPNほど大きな速度低下は見られません。
サービス名 | 平均下り速度 | 平均上り速度 | 平均Ping値 |
---|---|---|---|
VPNなし | 630.93Mbps | 598.2Mbps | 12ms |
NordVPN | 413.38Mbps | 24.68Mbps | 485ms |
ExpressVPN | 258.21Mbps | 93.55Mbps | 512ms |
Surfshark | 390.65Mbps | 34.51Mbps | 500ms |
CyberGhost | 208.38Mbps | 84.18Mbps | 482ms |
MillenVPN | 120.74Mbps | 40.31Mbps | 530ms |
Proton VPN | 226.8Mbps | 96.9Mbps | 496ms |
CyberGhostとProton VPNも、ExpressVPN同等の速度が出ていますが、いずれのVPNもサーバーはトルコ近隣の国に設置されていると予想されます。
なぜなら、どちらのVPNもトルコサーバーにつないでYouTubeに接続した場合、YouTubeプレミアムの契約ページで国を正しく判定してもらえないからです。
サイトの閲覧や動画視聴ではとくに問題ありませんが、YouTubeプレミアムの契約のように国の正確な判別が必要なケースでは利用できない点に注意が必要です。
韓国サーバー
韓国は日本にもっとも近い国ですが、韓国内の回線の影響なのか、どのVPNでも上り速度が大きく低下する傾向にあります。
そのなかでも、下りと上りのいずれも100Mbps以上出る点で優秀なVPNがExpressVPNとMillenVPNです。
サービス名 | 平均下り速度 | 平均上り速度 | 平均Ping値 |
---|---|---|---|
VPNなし | 630.93Mbps | 598.2Mbps | 12ms |
NordVPN | 403.27Mbps | 26.45Mbps | 78ms |
ExpressVPN | 368.33Mbps | 137.41Mbps | 78ms |
Surfshark | 344.3Mbps | 39.9Mbps | 88ms |
CyberGhost | 421.05Mbps | 297.37Mbps | 13ms |
MillenVPN | 189.33Mbps | 179.72Mbps | 73ms |
Proton VPN | 438.65Mbps | 87.39Mbps | 13ms |
韓国ドラマなどストリーミングサービスでの利用であれば、どのサービスを利用しても問題ありませんが、ビジネスシーンの利用で韓国サーバーに接続するならExpressVPN
とMillenVPNが安定した速度を維持できるでしょう。
CyberGhostとProton VPNもほかにくらべて高速に見えますが、トルコサーバー同様におそらくサーバーの実態が韓国にありません。
Ping値から予想すると日本にサーバーがありそうなので、国の判別が必要なケースでは利用できない点に注意が必要です。
総括
各VPNの通信速度を比較してきましたが、いずれの国に接続しても高速通信を維持しているのがNordVPNです。
下りは常に300Mbps以上を期待できるので、4Kなどの高画質な動画視聴でもストレスなく楽しめるでしょう。
上りは接続する国によって大きく低下する傾向にあり、ビデオ会議などビジネスシーンでの利用も念頭に入れたい場合、ExpressVPNを選択するのがベターです。
Surfshark・CyberGhost・MillenVPN・Proton VPNも、サイト閲覧や動画視聴の観点では十分な速度を計測できました。
ただし、サーバーの接続国と実際に設置されている国が異なるケースがあるなど注意すべきポイントもあるので、速度以外の特徴も総合的に判断して自身に最適なVPNを選ぶのがいいでしょう。
速度重視でおすすめのVPN6選
速度重視で選ぶ際におすすめのVPNの特徴を解説します。
VPN名 | NordVPN |
ExpressVPN |
Surfshark |
CyberGhost |
MillenVPN |
Proton VPN |
---|---|---|---|---|---|---|
月額料金 | 500円〜2,110円 | 6.67 USD~12.95 USD (約1,001円~約1,943円) |
308円~2,308円 | 320円〜1,790円 | 396円~1,738円 | Free:無料 Plus:3.59~9.99USD (約539円~約1,499円) |
プライバシー ポリシー |
ノーログポリシー | |||||
サーバー設置国 | 111ヶ国 | 105ヶ国 | 100ヶ国 | 100ヶ国 | 72ヶ国 | Free:3ヶ国 Plus:90ヶ国以上 |
サーバー台数 | 6,445台 | 3,000台以上 | 3,200台以上 | 11,605台以上 | 1,300台以上 | Free:約100台 Plus:4,450台 |
最大同時接続 デバイス数 |
6 | 8 | 無制限 | 7 | 10 | Free:1台 Plus:10台 |
返金保証 | 30日間 | 14〜45日間 | 30日間 |
総合的におすすめのVPNは、こちらの記事でも紹介しているのであわせて参考ください。
NordVPN
NordVPNは月額換算500円からと低価格なうえ、環境によっては500Mbpsを超えることもあるなど、業界トップクラスの速度に定評があります。
実際に検証してみると、どのサーバーに接続しても300Mbpsをゆうに超え、評判どおりの結果となりました。
接続サーバー | 平均下り速度 | 平均上り速度 | 平均Ping値 |
---|---|---|---|
なし | 630.93Mbps | 598.2Mbps | 12ms |
日本サーバー | 558.01Mbps | 579.27Mbps | 13ms |
アメリカサーバー | 483.8Mbps | 211.04Mbps | 261ms |
トルコサーバー | 330.16Mbps | 113.55Mbps | 604ms |
イギリスサーバー | 413.38Mbps | 24.68Mbps | 485ms |
韓国サーバー | 403.27Mbps | 26.45Mbps | 78ms |
Netflix・Amazonプライム・Hulu・DAZN・楽天Vikiといった主要なストリーミングサービスに対応し、4Kなど高画質での動画視聴にこだわりたい人に向いています。
サーバーの距離が離れると上り速度が大きく低下するものの、アメリカ西海岸くらいの距離であれば十分な速度が出るので、ビジネスシーンやオンラインゲームなどさまざまな用途で利用可能な万能なVPNといえるでしょう。
30日間返金保証
2年プランなら最大69%OFF + 3ヶ月無料
ExpressVPN
高品質のサービスにこだわるならExpressVPNがおすすめです。
利用料金は月額換算1,001円からと他社に比べて割高ですが、速度の安定性は業界最高クラスなうえ、セキュリティレベルの高さにも定評があります。
接続サーバー | 平均下り速度 | 平均上り速度 | 平均Ping値 |
---|---|---|---|
なし | 630.93Mbps | 598.2Mbps | 12ms |
日本サーバー | 374.95Mbps | 410.74Mbps | 14ms |
アメリカサーバー | 310.91Mbps | 231.38Mbps | 263ms |
トルコサーバー | 260.05Mbps | 132.51Mbps | 500ms |
イギリスサーバー | 258.21Mbps | 93.55Mbps | 512ms |
韓国サーバー | 368.33Mbps | 137.41Mbps | 78ms |
ほかのVPNより速度がやや遅い傾向にあるのは、ExpressVPNが独自に開発した通信プロトコル(Lightway)を利用しているためです。
通信プロトコルはコンピューター同士が通信を行う場合の手続き(ルール)のことで、データの送信サイズや暗号化方法などが定められています。
一般的にVPNのプロトコルで最速といわれているのがWireGuardで、本記事で比較したVPNのなかでExpressVPN以外はいずれも採用しています。
ExpressVPNのLightwayは、速さよりも安定性とセキュリティを重視しているため、どの国のサーバーに接続しても安定した速度を維持できるのです。
速度の安定性と安全性を重視したビジネスシーンでの利用に比重が大きい人は検討してみてください。
30日間返金保証
1年プランなら当サイト限定で3ヶ月無料
Surfshark
Surfsharkは、PC・スマホ・タブレットなど、さまざまなデバイスでVPNを利用したい人におすすめのVPNです。
24ヶ月プランなら月額換算308円と低価格ですが、どのサーバーでも下り200Mbps以上の速度を計測できたので、サイトの閲覧や高画質の動画視聴であれば申し分のないスピードです。
接続サーバー | 平均下り速度 | 平均上り速度 | 平均Ping値 |
---|---|---|---|
なし | 630.93Mbps | 598.2Mbps | 12ms |
日本サーバー | 531.87Mbps | 393.86Mbps | 13ms |
アメリカサーバー | 307.31Mbps | 115.54Mbps | 262ms |
トルコサーバー | 279.42Mbps | 64.01Mbps | 601ms |
イギリスサーバー | 390.65Mbps | 34.51Mbps | 500ms |
韓国サーバー | 344.3Mbps | 39.9Mbps | 88ms |
デバイスの同時接続台数は無制限なので、何台つないでも追加費用がかからない点が大きなメリットです。
家族や同居人が多いなど、利用するデバイスが複数ある家庭向きのVPNといえるでしょう。
30日間返金保証
2年プランなら最大86%OFF + 3ヶ月無料
CyberGhost
海外のさまざまなコンテンツを利用したい人におすすめなのが、CyberGhostです。
月額換算320円という低価格とサーバー設置台数の多さに特徴のあるVPNで、100ヶ国に9,000台以上のサーバーを設置しているのは業界最高水準です。
速度の面でも、同等価格のSurfsharkと同じく、どの国につないでも下り200Mbps以上のスピードを計測できました。
接続サーバー | 平均下り速度 | 平均上り速度 | 平均Ping値 |
---|---|---|---|
なし | 630.93Mbps | 598.2Mbps | 12ms |
日本サーバー | 522.26Mbps | 436.69Mbps | 12ms |
アメリカサーバー | 356.26Mbps | 85.96Mbps | 232ms |
トルコサーバー | 267.14Mbps | 10.14Mbps | 576ms |
イギリスサーバー | 208.38Mbps | 84.18Mbps | 482ms |
韓国サーバー | 421.05Mbps | 297.37Mbps | 13ms |
ただし、トルコサーバーと韓国サーバーのように、実際に設置されているサーバーの国が接続国とは異なる仮想サーバーが多い点に注意が必要です。
YouTubeプレミアムを契約する場合など、国を正確に判別して為替差で契約料金を安く済ませたい場合は向いていないサービスです。
価格の安さとサーバー設置台数の豊富さをふまえると、NordVPNやExpressVPNが不調時のサブとして利用するのがベターなVPNでしょう。
最大45日間返金保証
2年プランなら最大82%OFF + 2ヶ月無料
MillenVPN
「運営会社が日本のほうが安心する」という人におすすめなのがMillenVPNです。
運営会社が日本にあり、月額396円からと低価格なうえ、海外から日本のサービスを利用しやすいのが特徴です。
Hulu・TVer・Abemaなど、日本で視聴できる主要なストリーミングサービスに対応しています。
ほかのVPNにくらべて低速とはいえ、ExpressVPN以外に韓国サーバーで上りと下りのどちらも100Mbps以上を計測できたのはMillenVPNだけです。
接続サーバー | 平均下り速度 | 平均上り速度 | 平均Ping値 |
---|---|---|---|
なし | 630.93Mbps | 598.2Mbps | 12ms |
日本サーバー | 438.34Mbps | 560.17Mbps | 12ms |
アメリカサーバー | 116.08Mbps | 100.02Mbps | 272ms |
トルコサーバー | 130.39Mbps | 38.02Mbps | 598ms |
イギリスサーバー | 120.74Mbps | 40.31Mbps | 530ms |
韓国サーバー | 189.33Mbps | 179.72Mbps | 73ms |
ほかのVPNと比較するとサーバー数が少ないので、通信が不安定になるケースがある点に注意しましょう。
30日間返金保証
2年プランなら最大62%OFF
ProtonVPN
Proton VPNはほかのサービスと同様に有料のVPNですが、機能制限版を無料プランとして提供している点に特徴があります。
無料プランでもセキュリティポリシーは有料プランと同様で、帯域制限もないのが魅力です。
ただし、無料で利用できるVPNサーバーは約100台と限られている点にくわえ、速度は有料版よりも劣るので有料版を契約するのがおすすめです。
有料版の速度を計測すると、どの国のサーバーにつないでも、下り100Mbps以上を計測できました。
接続サーバー | 平均下り速度 | 平均上り速度 | 平均Ping値 |
---|---|---|---|
なし | 630.93Mbps | 598.2Mbps | 12ms |
日本サーバー | 436.3Mbps | 455.69Mbps | 13ms |
アメリカサーバー | 344.67Mbps | 169.54Mbps | 265ms |
トルコサーバー | 172.09Mbps | 88.82Mbps | 619ms |
イギリスサーバー | 226.8Mbps | 96.9Mbps | 496ms |
韓国サーバー | 438.65Mbps | 87.39Mbps | 13ms |
サイト閲覧や動画視聴では十分な速度を満たしていますが、サーバー数が有料版でも4,450台とやや物足りず、速度が不安定になるケースがあります。
また、下り400Mbps以上を計測した韓国サーバーは、Ping値からの推測になりますが、韓国ではなく日本に設置されていることが予想されます。
CyberGhost同様、YouTubeプレミアムを契約する場合など、国の正確な判定が必要なケースには向いていない点に注意しましょう。
無料でも利用できるのがメリットなので、メインのVPNが不調時など一時的な利用で特徴を活かせるVPNです。
30日間返金保証
2年プランなら最大55%OFF
VPNの速度低下につながる要因
VPNの速度低下につながる4つの要因を解説します。
サーバーの混雑状況
VPNサーバーに多くのユーザーが同時に接続すると、サーバーの処理に負荷がかかり、速度低下の要因になります。
インターネットの利用者が多い時間帯や人気のあるサーバーではとくに、混雑の発生する可能性が高まります。
また、サーバーの性能などのスペックも十分ではない場合、混雑しやすくなるでしょう。
無料VPNの場合、高スペックなサーバーを用意できていないケースがあるので、接続しづらい状況や速度低下が発生しやすい点に注意が必要です。
サーバーとの物理的距離
利用者とVPNサーバー間の距離が遠くなればなるほど、データの送受信にかかる時間が長くなるので、VPNの速度が低下する傾向にあります。
距離が長ければ長いほど、データがサーバーに到達するまでに多くのネットワーク機器を経由する必要があるからです。
距離が長いとデータの損失も発生しやすく、データの再送信が必要になるなど、速度がさらに低下する可能性もあります。
距離が近くでも、サーバーまでの経路が複雑だったり、契約しているプロバイダーの回線が低速な場合は期待するほどの速度を得られません。
速度に影響のある設定(MTU)
VPNで速度に影響を与える設定の一つがMTU(Maximum Transmission Unit)です。
MTUは、ネットワーク上で一度に送信できるデータの最大サイズです。
適切なサイズが設定されていない場合、データは複数に分割されて送信されるため、送信と再構築の処理に時間がかかり、VPNの速度が低下する可能性があります。
MTUはPC・スマホ・Wi-Fiルーターなど利用者のネットワーク環境も関係してくるので、自身の環境に最適なMTUのサイズを設定しなければ、VPNが本来出せる速度を十分に発揮できません。
アプリやネットワークの利用状況
PCやスマホなど、利用している端末のアプリやネットワークの利用状況もVPNの速度に影響を与えるので注意が必要です。
大容量のファイルをダウンロード・アップロードしたり、高画質のビデオをストリーミングしたりする場合、大量のデータ通信を必要とするため、VPNアプリのパフォーマンスに影響を与える可能性があります。
OSやアプリのアップデートはとくに注意が必要です。
気付かぬうちにバックグラウンドで自動実行され、PCやスマホなどのデバイス自体に負荷がかかり、VPNの速度にも影響を与えることがあります。
速度重視でVPNを選ぶときのポイント
速度重視でVPNを選ぶときのポイントを4つ解説します。
利用目的
VPNを利用する目的で、求められる速度は異なります。
動画視聴やオンラインゲームなどは、速度と安定性に最適化されたVPNサービスを選ぶことが賢明です。
一方セキュリティを最優先する場合、速度よりも安全性の高いVPNを選ぶのがいいでしょう。
各種サービスを利用する際の速度の目安を表にまとめたので参考にしてください。
利用用途 | 上り・下りの速度目安 | サービス例 | ||
---|---|---|---|---|
動画視聴 | 標準 | 5~25Mbps | Netflix、YouTube、楽天Vikiなど | |
動画視聴 | 4K高画質 | 25~100Mbps | ||
ビデオ通話・Web会議 | 10~50Mbps | Zoom、Google Meetなど | ||
オンラインゲーム | 30~100Mbps | Steam、ブラウザゲームなど | ||
WEBサイト・メール・SNSの閲覧 | 1〜5Mbps | Amazon、各種SNSサービス、Gmailなど |
無料VPNより有料VPN
速度を重視する場合、無料VPNより有料VPNを選ぶことをおすすめします。
無料VPNは、サーバー数や設置場所が限られ、多数のユーザーが同時に接続すると速度が低下しがちです。
また、ノーログポリシーを掲げていないサービスが多く、安全性にも不安が残ります。
一方有料VPNは、無料VPNより豊富なサーバー数と安定した速度にくわえ、ノーログポリシーを掲げているサービスが一般的なので安全性も高いです。
1ヶ月プランだとどこのVPNも月額1,000円以上かかりますが、1年や2年など契約期間が長くなればなるほど安くなる料金体系を採用しています。
サーバー設置国・設置数
サーバー設置国が多ければ、さまざまな国のジオブロックを回避できるだけでなく、利用者の居住地からなるべく近い距離にあるサーバーを選びやすくなります。
サーバーの距離は近いほうがVPNの速度と安定性を維持できるので、たとえばイギリスとアメリカどちらでも視聴可能な楽天Vikiは、アメリカに接続したほうがストレスなく視聴しやすいです。
また、サーバー数が多いと利用者の混雑を分散でき、速度低下が発生しづらいです。
たとえばNordVPNは1ヶ国あたりの平均サーバー設置数が多いので、どこの国に接続しても300Mbps以上の速度を期待できるうえ、サーバーに障害が起きても代替サーバーがすぐに見つかります。
返金保証や試用期間
通信速度は、PC・スマホやWi-Fiルーターにくわえ、契約しているプロバイダーの回線にも左右されるので、自分の環境で実際にどれくらいの速度が出るのか検証するのがおすすめです。
返金保証や試用期間を設けているVPNであれば、その期間で速度の検証や使い勝手を試せます。
多くの有料VPNは、30日間の返金保証や試用期間を設けているサービスが多いので、契約前に確認しておきましょう。
VPNの速度が遅いときの対策
VPNの速度が遅いときの対策を7つ紹介します。
別のサーバーにつなぎ直す
VPNの速度が遅い場合、現在接続しているサーバーを変更することで改善できる可能性があります。
サーバーが混雑していたり、何らかの理由で処理に負荷がかかっていることが考えられるので、別のサーバーに接続し直してみましょう。
多くのVPNアプリには、再接続するたびに最適なサーバーを自動的に選択する機能があるので、サーバーの切り替えは簡単です。
なるべく距離の近いサーバーに接続する
VPN経由で利用中のサービスが、複数の国で利用可能な場合、居住地からなるべく近い距離にある国を選ぶのがおすすめです。
居住地が日本の場合、アメリカとイギリスで利用できるサービスなら、距離の近いアメリカ西海岸のほうが速度は安定しやすいです。
ヨーロッパ限定のサービスの場合も、イギリスを選ぶよりはフランス・ポルトガル・トルコなどを選んだほうが快適に利用できる可能性が高いでしょう。
VPNのMTU設定値を見直す
VPNに設定されているMTUのサイズを最適な値に変更すると、速度が大幅に改善することがあります。
NordVPNで速度が出ない環境で実際に試したところ、MTUの変更により下り速度は20倍以上改善できました。
ただし、以下の注意点から、PC初心者で自信のない人は有識者に確認しながら設定を変更するのがおすすめです。
- 黒い画面で操作しなければならない
- 自身の環境に応じた適切な値を探す必要がある
上手くいかない場合、元に戻せないと普段の利用で影響が出る可能性もあるので、ここでは具体的な手順の説明は控えておきます。
OSやアプリの自動アップデートをオフにする
VPNに接続しても通常より速度が出ないと感じたときは、OSやアプリのアップデート処理が実行されていないか確認してみてください。
OSやアプリの自動アップデートがオンになっていると、更新通知がPCやスマホに届いた時点で、アップデートファイルを自動でダウンロードします。
アップデートファイルの容量が大きいとネットワークの帯域を占有し、デバイスの処理にも負荷がかかってVPNの速度にも影響が出やすいです。
OSやアプリの自動アップデート機能はオフにし、アップデート時間を設定できる場合はデバイスをあまり利用しない時間帯に設定するなど、バックグラウンドでダウンロードやアップデート処理が行われないようにしましょう。
ウイルス対策ソフトのスキャン時間を見直す
ウイルス対策ソフトのスキャン時間も設定を見直しておくのがおすすめです。
PCやスマホを頻繁に利用する時間帯にウイルススキャンが走ってしまうと、PCのスペックによっては処理負荷がかかり、VPNアプリの挙動にも影響を与えます。
OSやアプリのアップデート同様に、デバイスをあまり利用しない時間帯に設定しておくのがベストです。
VPNやデバイスを再起動する
VPNに何度も接続しなおしたりしてると、VPNアプリの挙動がおかしくなり、いつもより速度が出なかったり、遅延が発生したりすることがあります。
利用途中で挙動がおかしいと感じたときは、VPNアプリを再起動してみましょう。
また、PCやスマホを長時間使い続けているとメモリ上に正しくクリアできないゴミが溜まることがあり、その積み重ねがVPNアプリに影響していることも考えられます。
VPNアプリを再起動しても正しく動作しない場合、メモリ上に溜まったゴミをクリアするため、PCやスマホを再起動するのがおすすめです。
より速度の速いVPNに乗り換える
これまでの対策をしても期待するほど速度が出ない場合、別のVPNサービスを契約することも検討してみてください。
NordVPNやExpressVPNのような品質の良いVPNでも、環境によっては合わない可能性もあります。
返金保証か試用期間が付いている有料VPNを選び、その期間中に自身の環境にマッチするかどうかを確認しましょう。
VPNの速度に関するよくある質問
VPNの速度に関するよくある質問を回答していきます。
速度の速いおすすめのVPNは?
NordVPNがおすすめです。
日本から遠いアメリカやイギリスのサーバーにつないでも、下りで300Mbps以上の速度を期待できるので、高画質の動画でもストレスなく視聴できます。
ビジネス用途など大容量データの送信が必要なシーンが多いのであれば、上りも安定して出るExpressVPNを検討してみてください。
VPNの速度の目安は?
速度の目安は利用用途によって変わります。
各種サービスを利用する際の速度の目安は以下のとおりです。
利用用途 | 上り・下りの速度目安 | サービス例 | ||
---|---|---|---|---|
動画視聴 | 標準 | 5~25Mbps | Netflix、YouTube、楽天Vikiなど | |
動画視聴 | 4K高画質 | 25~100Mbps | ||
ビデオ通話・Web会議 | 10~50Mbps | Zoom、Google Meetなど | ||
オンラインゲーム | 30~100Mbps | Steam、ブラウザゲームなど | ||
WEBサイト・メール・SNSの閲覧 | 1〜5Mbps | Amazon、各種SNSサービス、Gmailなど |
VPNの速度の測定方法を知りたい
VPNの速度は、VPNサーバーに接続した状態でSpeedtest.netなどの通信速度測定サイトで計測できます。
ただし、インターネット全体の利用状況によって速度は左右されるので、自分がよく利用する時間帯に複数回計測して平均値をとるのがベストです。
たとえば、インターネットの利用状況は午前7時台から夕方19時台に向かってゆるやかに上昇する傾向にあり、一般的に速度を計測する場合は9時・12時・19時それぞれの時間帯で測ることが多いです。
また、VPNサーバーに接続してすぐに計測してもネットワークが安定しない可能性があるので、とく距離の遠いサーバーに接続して計測する場合は数分待ってから計測しましょう。
VPNのスピードテストのおすすめは?
通信速度を測れるサイトはさまざまあり、回線のプロバイダーが提供しているケースが多いです。
おすすめのサイトはSpeedtest.netかUSEN GATE 02です。
速度の品質を知るうえで必要な下り速度・上り速度・Ping値(通信応答速度)を、どちらも簡単に測定できます。
Speedtest.netは、WindowsやmacOS用のアプリもあり、アプリ版のほうが安定して計測できます。
USEN GATE 02は、前述の測定項目以外にJitter値と利用用途ごとの快適度合いも計測してくれる点で便利です。
Jitter値は、Ping値のゆらぎを表す数値で、数値が小さければ通信応答速度が安定していることを示します。
手軽に測定したい場合はSpeedtest.net、利用目的ふくめ、通信の品質を詳細に知りたいときはUSEN GATE 02を利用するといいでしょう。
在宅勤務でVPNを使うと遅くなるので速度を改善したい
在宅勤務などビジネスシーンでVPNを利用する場合、ビジネスに関するデータ送信やWeb会議など、上り速度を重視する機会が増えます。
上りはサーバーの距離が遠くなればなるほど速度が低下しやすいので、居住地からなるべく近い距離のサーバーを選んだり、どのサーバーにつないでも上り速度が安定するVPNを選ぶのがおすすめです。
アメリカ西海岸のサーバーならNordVPNで十分ですが、NordVPNは上り速度が大幅に低下しやすい傾向にあるので、どの国のサーバーにつないでも安定した速度を保てるExpressVPNも候補のひとつとして検討してみてください。
韓国サーバーに限定すればMillenVPNも優秀です。
まとめ:VPNは高速で安定したサービスを選ぼう
本記事ではVPNの速度に着目し、主要なVPNの速度を実際に計測して検証してみました。
下りは高速通信で定評のあるNordVPNが圧倒的に強く、上り・下りの安定感が抜群なVPNはExpressVPNという検証結果を得られました。
ただし、通信速度は自身の環境に左右されるので、前評判や本記事の結果をふまえて自身の環境で実際に試してみることをおすすめします。
どうも、マクリン( @Maku_ring)でした。