最近目にする機会が多い「5G」と「Wi-Fi6」という言葉。
どちらもインターネットを使う上で大事な「通信速度」に関する言葉で、これまでより圧倒的な速さでデータ通信が可能です。
Wi-Fi6や5Gを使うことで、動画再生が途切れなくなったり、TwitterやInstagramなどのSNSですばやく画像表示できたりなど、インターネットの利用におけるさまざまなメリットがあります。
ヨメ
マクリン
本記事では、Wi-Fi6と5Gそれぞれの特徴をご紹介した上で「Wi-Fi6と5Gの違い」を分かりやすく解説していきます。
先に違いを知りたい場合は「Wi-Fi6と5Gの違いは?」から読んでください。
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Wi-Fi6(ワイファイシックス)とは?
Wi-Fi6とは、Wi-Fi規格である「IEEE802.11ax」を分かりやすく表した言葉で「無線LANにおける第6世代の通信規格のこと」です。
無線LANとは簡単にいえば「WiFiルーター」のことで、通信規格の種類によって、対応する周波数帯や通信速度にも違いがあります。
通信規格の対応周波数帯や通信速度は、以下の一覧表を確認ください。
世代 | 新名称 | 旧名称 | 最大通信速度 | 周波数 |
第6世代 (2020年1月) |
Wi-Fi6 | IEEE802.11ax | 9.6Gbps | 2.4GHz/5GHz |
第5世代 (2013年12月) |
Wi-Fi5 | IEEE802.11ac | 6.9Gbps | 5GHz |
第4世代 (2009年9月) |
Wi-Fi4 | IEEE802.11n | 600Mbps | 2.4GHz/5GHz |
第3世代 (2003年6月) |
– | IEEE802.11g | 54Mbps | 2.4GHz |
第2世代 (1999年9月) |
– | IEEE802.11a | 54Mbps | 5GHz |
– | IEEE802.11b | 11Mbps | 2.4GHz | |
第1世代 (1997年6月) |
– | IEEE802.11 | 2Mbps | 2.4GHz |
引用:BUFFALO公式サイト
これまでは、米国電気電子学会が定める標準規格名「IEEE802.11…(アイ・トリプル・イー)」でインターネットの通信規格が表現されてきました。
末尾の11が「11n」や「11ac」になることで、その種類を区別していました。
読み方が難解な上に、ユーザーにも分かりづらいという問題があったため、2019年9月に「Wi-Fi Alliance」という団体が「Wi-Fi 」と覚えやすい呼称に変更すると発表しました。
なお、Wi-Fi4以前の通信規格は、呼称の変更は行われていません。
通信規格によって対応する周波数帯が異なり、それぞれ以下の特徴があります。
周波数帯による違い
- 2.4GHz帯 速度は遅いが、障害物に強い。Bluetooth機器や家電製品も使用する帯域なので電波干渉が起こりやすい
- 5.0GHz帯 速度は速いが、障害物に弱い。接続機器との距離が長いと電波が弱くなりやすい
通信業界の技術は凄まじいスピードで進化を続けています。
今ではスマホやパソコンはもちろんのこと、IoT(モノのインターネット)という言葉が登場したように、さまざまな製品がインターネットに接続できるようになりました。
また、昨今ではクラウドを活用した数多くのサービスが登場し、Web会議や動画コンテンツの需要も大きく広がっています。
これらに対応するため、従来の「Wi-Fi5(IEEE802.11ac)」にさまざまな機能を追加し、より高度な同時接続性・大容量通信・接続性の安定を実現したのが「Wi-Fi6」なのです。
ちなみにWi-Fi6を使うためには、ルーターやスマホやパソコンなど、接続側もWi-Fi6に対応している必要があります。
ですが、Wi-Fi6には下位互換性があるので、Wi-Fi6に対応していない通信機器でもWi-Fi5やWi-Fi4などでインターネットへ接続できます。
5G(ファイブジー)とは?
5Gとは「第5世代移動通信システム」のことを表す言葉で、平たく書くと「携帯電話などで使われる通信規格」のことです。
現在では100Mbps〜1Gbps程度の速度の「4G」が主に使われていますが、5Gが使えるようになると、実効速度で10Gbps程度の高速通信ができるといわれています。
国内では2019年後半から商用利用に向けてさまざまな形でプレリリースが行われ、2020年春頃から大手通信キャリア(ドコモ・au・ソフトバンク)での本格的な5G運用がスタートしました。
5Gには以下の特徴があります。
- 高速大容量(最高伝送速度10Gbps) 今まで以上に高精細なマルチアングル視聴やVR・AR、ストリーミング映像サービスが実現する
- 低遅延通信(1ミリ秒程度の遅延) さまざまなゲームにおける遅延を解消し、離れた場所同士でもリアルタイムで円滑なやり取りが可能になる
- 多数同時接続(100万台/㎢の接続台数) IoTの活用によるスマートホームの実現や同時接続による回線の混雑を解消できる
5Gが利用できると、今まで以上に大容量のデータ通信を超高速で行えるようになります。
また、データ通信におけるタイムラグが少なくなるのにくわえ、同時に多くの通信機器を接続できることから、インターネットがさらに快適に利用できることが特徴です。
変わったところでは、医療現場や建築現場で低遅延性を活かしてロボットでの遠隔作業が可能になったり、高速大容量通信を活かして顔認証での支払いや公共機関の利用、自動運転ができるようになります。
5Gの今後の課題
我々の暮らしがより豊かになる5Gですが、実際に普及するまでには以下の課題があります。
- 5G基地局の設置・整備
- 5G対応機器の開発・販売・購入
- 5Gのスペックが必要なコンテンツの拡充
- セキュリティ対策
2020年3月からサービスが開始したドコモ・au・ソフトバンクですが、都市部を中心とした限定的なサービスとなっており、日本全国に5Gが普及するためにはまだまだ時間がかかることが予想されています。
直近では、2020年6月16日に総務省より「2023年度末までの整備計画を従来の3倍にあたる21万局以上に引き上げる」という方針が発表されました。
しかし、5Gサービスを日本全国に拡大するためには、50万局以上ある4G基地局以上の数が必要と見られています。
一般的な5Gの普及は2020年代後半になるのではないかといわれています。
Wi-Fi6と5Gの違いは?
Wi-Fi6と5Gそれぞれの特徴を踏まえた上で、その違いについて解説していきます。
Wi-Fi6と5Gはどちらも「通信速度」に関する言葉で似た特徴を持っていますが、厳密には下記の違いがあります。
Wi-Fi6 | 5G | |
規格名称 | 第6世代無線LAN規格 ※ワイヤレスネットワーク |
第5世代移動通信システム ※モバイルネットワーク |
最大速度 | 最大9.6Gbps | 最大10Gbps |
周波数帯 | 2.4GHz、5GHz | 3.7GHz、4.5GHz、28GHz |
使える範囲 | 屋内などの限定された範囲 | 基地局のある広範囲 |
基本的な用途 | 密度の高い屋内での利用がメイン | 屋内でも使えるが屋外での利用がメイン |
使える端末 | 通信機器全般 | 現状は携帯電話がメイン |
特徴 |
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Wi-Fi6は屋内に設置した無線LANルーターを介して通信を行う特性上、室内などの限定された範囲でのデータ通信に適しています。
一方の5Gは、スマホなどのモバイルネットワーク(無線通信)で通信を行うため、屋内だけに限らず屋外での利用にも適しています。
なお、どちらを利用するにも接続する通信機器が各規格に対応している必要があります。
例えばノートPCとして人気の高いMacBookシリーズは、Wi-Fi6に対応したモデルがまだ発売されていません。
そのためWi-Fi6対応ルーターを利用していても、MacBookシリーズではWi-Fi6の利点を活かすことができず、Wi-Fi5やWi-Fi4の通信規格で通信を行うこととなります。
Wi-Fi6と5Gは共存関係にある
Wi-Fi6と5Gは、どちらか一方を選んで使うというわけではなく共存関係にあります。
それぞれで用途が異なります。
- たくさんの人が同時接続して屋内でデータ通信を行うなら「Wi-Fi6」
- 屋外での移動中にデータ通信をするなら「5G」
お互いの弱点を補い合う関係性にあるため、日本全国で5Gが普及しても、Wi-Fi6が使われなくなるといったことはありません。
また、これまでと同様でスマホのデータ容量には上限が定められているので、上限を気にすることなく使えるWi-Fiの存在は必要不可欠なものといえるでしょう。
Wi-Fi6と5Gの違いまとめ
本記事では、インターネットの通信速度に関する「Wi-Fi6」と「5G」の違いについて解説しました。
どちらも今まで以上の高速通信ができることが特徴ですが、それぞれ明確に用途が異なります。
それぞれの特徴を理解した上で、必要に応じて最新規格に対応した通信機器を選んで使っていくようにしましょう。
どうも、マクリン( @Maku_ring)でした。
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